【発症後1年】60代男性・林様・脳梗塞・複視/バランス障害の改善事例
上方向の動き
- 60代
- 男性

ご利用者様情報
- 年代
- 60代
- 性別
- 男性
- 疾患名
- 小脳梗塞 脳幹梗塞
- 発症からの期間
- 1年
- 症状
- 複視(眼球運動障害) バランス障害
- ご利用期間・回数
- 1ヵ月・8回
- リハビリ目標
- 複視の改善 歩行の安定性向上
リハビリの記録
RECORDご利用までの経緯
1年半前に小脳テントに髄膜腫を認めました。1年4ヵ月前に脳室が拡大し水頭症を発症、シャント術を施行。1年前に小脳テントの腫瘍摘出のため手術を受けた際に、小脳虫部、脳幹の一部に脳梗塞を発症されました。急性期・回復期病院に入院されリハビリを実施しました。
その後、自宅退院されましたが、複視やバランス障害が残存しており生活が送りにくい状況でした。
複視やバランス障害の改善を目的に当施設のご利用を開始されました。
体験時の状況
体験時は右目の眼球運動が低下しておりました。
そのため特に視野の下全体、左側に複視を強く認めていました。両目の協調した眼球運動も困難で左目の方が先に動く様子がみられました。
歩行は独歩で可能でしたが、体幹・右上下肢の失調症状によりふらつきを認めました。
また、複視を修正するために左側に頭部を傾けるため、歩行時の姿勢に影響を及ぼしていました。
リハビリ内容
頭部・体幹の正中を準備をした上で、眼球に対してのリハビリを実施しました。
対象を注視すると眼振がみられたため、まずは対象を注視することから開始しました。
また苦手な運動方向に対し、追視や反射を用いた眼球運動を代償に注意して行い機能改善を図りました。
その上で両目でピントを合わせ、複視がでない範囲での運動を促しました。
眼球運動では強い筋肉を使って眼球を動かしてしまうため、眼球運動練習の順番や難易度調整は細かく設定して行いました。
また、体幹部の促通を図るための運動は並行して行いました。
リハビリの結果
RESULT現在は眼球運動練習に加え、「ピントを合わせながら両目を動かす」「瞬時にピントを合わす」といったリハビリを実施しています。
歩行時の姿勢を改善し、初期よりも顔を上げて歩けるようになっています。
複視に関しては評価から右目の動きの低下を認めたため、眼球運動の練習を徹底して行いました。
自主練習もお伝えし、実施していただきました。
リハビリでは「ピントを合わせる」「眼球運動の速度を変える」「瞬時に切り替える」など応用的に目を使う練習を実施しました。
眼球運動を担う筋肉は直接触れることのできないため、観察を丁寧に実施し、代償動作が生じないように注意してリハビリを行いました。これにより、複視の改善に繋がったと考えています。
まだ9方向のうち、5方向に複視が残存しているため、引き続き複視の改善に対してリハビリを実施していきます。
百瀬 義一