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なぜ脳出血後のリハビリは必須なのか?【理由と具体的な利点を解説】

こんにちは!神奈川県横浜市にある脳神経リハビリセンター横浜で理学療法士をしている中田です。理学療法士のキャリアは21年になります。

脳出血後のリハビリテーションは、患者様にとってとても大切です。

十分な対策を施さないと、回復が遅れるだけでなく、日常生活にも大きな支障をきたす可能性があります。

本記事では、急性期から維持期までの病期別にリハビリテーションを詳しく解説し、在宅でのサポート方法や再発予防策もご紹介します。

より良い未来を築くために、是非ご一読ください。

脳出血とは?

脳出血とは?

脳出血は、脳内の血管が破裂し、血の塊を作り、脳を圧迫します。

それに巻き込まれた神経細胞が障害される病気です。

これにより、重篤な状況が発生することがあります。

脳出血は、脳梗塞・クモ膜下出血とともに、脳卒中に含まれる疾患のひとつです。

また脳出血は、脳卒中全体の約2割を占める疾患です。

脳卒中についての統計を見ていきましょう。

脳卒中は、1951年から約30年にわたって死亡の原因の第1位でした。

下記のグラフをご参照ください。

国内の主な死因疾患別死亡率(人口10万対)の年次推移
国内の主な死因疾患別死亡率(人口10万対)の年次推移
 【出典】「令和5年(2023年)人口動態統計(概数)」厚生労働省より筆者作成

現在では、その後の急性期治療の進歩により、「がん」「心疾患」に次いで第3位となっています。

ですが下記の通り、脳卒中の患者の全体の数はむしろ年々増加しています。


2020年時点では、国内の脳卒中患者は、約174万人となっています。

また脳卒中による死亡率が低下していることは、その後に後遺症を抱えて生活する方が増えているということでもあります。

介護が必要となった原因
40歳〜64歳の2号被保険者の方が、介護が必要となった原因でもっとも多い疾患は、脳卒中(56.4%)です。

脳卒中の56.4%は、次に多い糖尿病の13.2%や、認知症の6.5%、がんの5.1%を大きく上回っています。

【改善事例あり!】脳卒中とは?どこよりもわかりやすく解説します!

リハビリテーションの段階と目的

リハビリテーションの段階と目的

この章では、脳出血の患者様が行うリハビリテーションの各段階と、それぞれの目的について説明します。

各段階での取り組みを理解することで、効果的なリハビリテーションが可能となります。

脳出血後のリハビリテーションの重要性

脳出血は患者様の身体的に深刻な影響を及ぼす可能性があり、効果的なリハビリテーションは回復過程で極めて重要です。

神経機能の回復のメカニズムはまだ解明されていないことも多いのですが、早期にリハビリテーションを開始することは、機能回復に重要な要因の一つと言われています。

また、リハビリテーションは身体機能の回復だけでなく、心理的・社会的な回復も意味しています。

その人がもともと行っていた日常生活をスムーズにおくれるようになることも重要とされています。

リハビリテーションの具体的なメリットやその裏付けについて解説していきます。

  • 神経可塑性の促進

    脳の可塑性とは、経験や学習によって脳が変化し、適応する能力のことです。

    リハビリテーションは、脳の神経可塑性、つまり損傷後の脳が新たな神経経路を形成することなどを利用して、機能の再建を促進することが可能と言われています。

    積極的なリハビリテーションは、損傷した脳領域の周辺での新たな神経経路の形成を助け、失われた機能の一部を回復させる可能性があります。

    しかし、リハビリテーションに一貫性がなければ、その新しい神経接続は十分な繋がりを持てません。

    リハビリテーションは、「反復性」「一貫性」が大切です。

  • 機能的回復の最大化

    リハビリテーションプログラムは、患者様が失われた運動能力や言語能力を最大限に回復させることを目指します。

    リハビリテーションとしては、理学療法、作業療法、言語療法が必要に応じて実施されますが、患者様一人ひとりに合わせたプログラムであることが大切です。

  • 日常生活への再適応

    リハビリテーションは患者様が社会に再適応し、自立した生活を送るためのサポートも行います。

これらの介入は、脳出血患者様の生活の質を大幅に改善するために重要です。

リハビリテーションの早期開始は、特に重要で、機能的回復の可能性を大きく向上させるといわれています。

急性期のリハビリテーション

急性期リハビリテーションは、脳出血発生直後の非常に重要な時期に行われます。

この段階では、患者様の命を守ることが最優先となります。

発症直後や治療直後は全身状態が変化しやすく不安定なため、生命維持が優先されますが、全身状態を確認しながら可能な限り早期にリハビリテーションを開始します。

廃用症候群」※などを回避するために、身体状況を考慮しながら、ベッドやその周辺でのリハビリテーションを行う場合もあります。

※廃用症候群
過度に安静にすることや、活動性が低下したことによる身体に生じた様々な状態をさします。

急性期の治療の目的は、重篤な合併症を防ぎながら、患者様の身体機能を維持・改善することです。

急性期のリハビリテーション開始のタイミングは、患者様が安定した状態であることが前提となります。

適切な時期に開始することで、後のリハビリテーションの効果を最大化し、より良い回復結果を得ることが期待されます。

回復期のリハビリテーション

回復期リハビリテーションは、急性期を過ぎ、病態や血圧が安定してきたことに伴い、より積極的なリハビリテーションが開始される時期となります。

患者様が少しずつ日常生活への復帰を目指す段階です。

この期間には、機能の回復と強化を目的とした様々なリハビリテーションプログラムが実施されます。

この段階のリハビリテーションの主な目的は、患者様が日常生活を行う上で必要な動作が行えるよう、運動機能・嚥下機能・高次脳機能などを改善することが中心となります。

主なリハビリテーションを紹介します。

  • 運動機能・日常生活動作に関するリハビリ(理学療法・作業療法)

    患者様の身体機能に合わせたリハビリテーションプログラムが計画され、麻痺の回復、筋力の向上、バランスの改善、関節の可動性向上を目指します。

    食事、着替え、入浴、トイレなど、日常生活に必要な基本動作を練習し、自立を促進します。

    高次脳機能障害へのアプローチとして、注意障害や遂行機能障害、半側空間無視、失行、失認など、その人の障害に応じて、日常生活動作を行えるよう、繰り返し練習する、メモなどを用いて記憶の曖昧さを補うなどの工夫をしていきます。

  • 嚥下・言語機能に関するリハビリ(言語療法)職業療法

    発声や舌の運動、飲み込みの練習などをしていきます。

    急性期で口や鼻から管を入れて流動食で栄養を摂っていた(経管栄養)方も、練習を行うことで、口から食べることができるようになることを目指します。

回復期リハビリテーションは、患者様一人ひとりにあわせた計画に基づいて行われ、可能な限りの自立を目指します。

この時期の適切なリハビリテーションにより、患者様は日常生活へ戻る準備を整えます。

維持期におけるリハビリテーション

維持期リハビリテーションは、患者様が回復期のリハビリテーションを終え、回復が緩やかになった頃に開始されます。

回復期のリハビリテーションで改善した機能を維持し、可能な限り生活の質を高めることを目的とします。

この段階でのリハビリテーションプログラムは、患者様の生活に密接に関わり、自立を維持するための支援を行います。

維持期の主なリハビリテーションを紹介します。

  • 定期的な運動指導:患者様が日常生活で必要とする体力と機能を保持するための、継続的な運動プログラムを作成し指導します。
  • コミュニティへの参加:地域の活動やイベントへの参加を通じて、社会的交流が促進され、孤立感が軽減します。
  • 生活スキルの向上:新しい趣味やスキルの学習を支援し、患者様の精神的、感情的な満足感を高めます。
  • 医師からの助言:定期的な受診で、医師からの助言を受けつつ治療計画やリハビリ計画の調整を行い、患者様の健康状態に応じた適切な医療支援を受けることができます。

維持期リハビリテーションは、患者様が獲得した機能を長期にわたり維持し、活動的で充実した生活を送るための重要なサポートです。

脳神経リハビリセンターでは、少なからず一般的に維持期とされる期間に入った方の機能改善が行えた実績があります。

脳神経リハビリセンターのリハビリによる脳出血患者様の改善事例をご紹介します。
脳出血により左片麻痺となった50代の女性です。

急性期・回復期でのリハビリを経てご自宅に退院されました。

退院後は訪問リハビリをご利用されていましたが、リハビリ時間の減少に伴い徐々に左足の動きが悪くなっていたのもあり、当施設のご利用を検討頂きました

見守りでの歩行は可能でしたが、安定性が十分ではなく屋内においても装具を使用して歩き、屋外は車椅子を使用されていました。

歩く際に右半身や杖を支点に体を捻じることで左右の非対称性が強く、左足を振り出す際も足先のひっかかりを意識されていました。

リハビリでは左足の硬さを取りつつ左膝が過剰に伸びないように股関節や足関節の安定性強化を立位でのバランス練習を通して行いました。

並行してHALを使用した足首の動きを高める練習を繰り返しました。

リハビリを行った結果、右半身の捻じれが軽減したことで、全身の無駄な力が抜け、左足の振り出しが改善しました。

左足の振り出しが改善したことにより、左足の床への接地も改善し、装具からサポーターへ変更した歩行が可能となりました。

↓↓↓詳しくは、こちらをご覧ください。
【発症後9ヶ月】50代女性・脳出血・左片麻痺の改善事例

リハビリテーションの実践方法

リハビリテーションの実践方法

この章では、リハビリテーションの具体的な実践方法を紹介し、リハビリテーションが患者様の機能回復にどのように寄与するかを解説します。

理学療法(PT)の役割

理学療法は、低下した身体機能の回復を目指すために不可欠です。

脳出血後の後遺症として身体の片側に運動麻痺が残ることがあります。

理学療法は、このような運動麻痺の改善や、患者様の日常生活への復帰を目標として様々な練習を行います。

脳出血後の理学療法における主なプログラムを紹介します。

  • 筋力強化:脳出血で影響を受けた身体の部位を含め、筋力を回復させるための運動を行います。
  • 関節可動域の改善:麻痺した手足の関節が固まらないように、積極的な関節運動を行って可動域を保ちます。
  • 歩行練習:麻痺した手足の状態でも安全に歩けるようになるための練習を行い、歩行器や杖の選定とそれらを使った練習も行います。
  • バランス練習:片麻痺によるバランスの悪化を改善するため、様々なバランス練習を行い、転倒の危険性を減少させます。
  • 痛みの管理:麻痺や不自由な動きからくる痛みを和らげるためのマッサージや動作指導を行い、物理療法も併用します。

これらのプログラムは、患者様が可能な限り自立した生活を送れるように、また社会復帰を目指せるように患者様の要望を加味して計画します。

理学療法士は、患者様の状態に応じた適切な介入を行い、最良の結果を目指します。

作業療法(OT)の導入

脳出血後の作業療法は、患者様が日常生活動作を再獲得し、自立した生活を目指すための重要な役割を果たします。

作業療法がどのように患者様の機能回復をサポートするかを解説します。

作業療法士は、患者様が日常生活の課題に対処できるよう、様々な視点からリハビリテーションを行います。

  • 自立した日常生活の支援:食事、着替え、入浴、トイレなどの日常活動の自立を促すための個別の練習を行います。
  • 認知機能の回復:記憶、注意力、問題解決能力などの認知機能の訓練を通じて、脳機能の練習を促します。
  • 環境調整:患者様が、自宅や職場内で、安全かつ効率的に活動できる環境を整えるアドバイスを行います。
  • レジャー活動の推進:趣味や社会参加を通じて、患者様の生活の質を向上させる支援を行います。
  • 適応用具の使用:日常生活を容易にするための自助具を選定し、使い方を指導します。

これらの活動を通じて、作業療法は患者様が可能な限り自立した生活を送ることを支援し、社会復帰を目指すための土台を築きます。

言語聴覚療法(ST)の重要性

言語聴覚療法は、コミュニケーション障害や嚥下障害のある患者様を対象に、話す、聞く、読む、書く等の能力の回復を支援します。

  • 言語能力の向上:構音の練習や語彙の拡充を通じて、コミュニケーション能力を強化します。
  • 嚥下機能の改善:安全な飲食が可能になるよう、嚥下機能の回復を促します。

家庭でできるリハビリテーション

家庭でできるリハビリテーション

この章では、患者様が自宅でできるリハビリテーションと、ご家族様ができるサポートについて解説します。

在宅でのリハビリテーション

在宅でのリハビリテーションは、病院から自宅に戻った患者様が、身体機能を維持・回復し、より長く日常生活を維持することができるように計画されます。

  • トレーニング機器の利用:ご自宅で使用可能なトレーニング機器を使って、日々の運動や練習を続けます。
  • 動画やアプリを利用した運動:オンラインのリハビリプログラムを利用して、運動を行います。
  • ご家族様のサポート:ご家族様が、患者様の運動の継続や動機付けを促すために、共に活動することが大切です。

必要なリハビリテーション機器と支援ツール

適切なリハビリ機器を自宅に導入することで、患者様の回復をより効果的にサポートできます。

自宅用リハビリ機器の一部を紹介します。

  • 調整できるエクササイズバンド:強度が調整でき、多様な運動に対応可能です。
  • バランスボール:体幹の強化とバランス向上に役立ちます。
  • 歩行の補助器具:杖や歩行器を使うことで、安全に練習することができます。

再発予防と生活上の注意

再発予防と生活上の注意

この章では、脳出血の再発を防ぐための具体的な予防策と、患者様およびご家族様が日常生活で注意すべき点について解説します。

脳出血の再発予防策

脳出血の再発を防ぐためには、生活習慣の見直しと医療的な管理が不可欠です。

効果的な予防策をご紹介します。

  • 高血圧の管理:定期的な血圧測定と適切な薬物療法により、血圧をコントロールします。
  • 健康的な食生活:塩分の摂取制限とバランスの取れた栄養摂取が再発予防に有効です。
  • 定期的な運動:体力維持のための適度な運動を日常に取り入れ、基礎代謝を高め、体重管理を行います。
  • 禁煙と節度のある飲酒:喫煙は脳血管に悪影響を及ぼすため、禁煙が推奨されます。また、過度な飲酒も避けるべきです。

患者様とご家族様へのアドバイス

患者様とご家族様が安心して日常生活を送れるよう、適切な生活習慣やサポート方法をお伝えします。

  • 日常生活での安全対策:転倒予防のために家具の配置に配慮し、危険な場所には手すりを設置するなどの工夫をします。

    動線に物を置かないなどの配慮も有効です。

  • 精神的サポート:ご家族様が、患者様が抱える不安やストレスを理解し、適切なコミュニケーションをとることで不安やストレスの軽減につながります。
  • 定期的な診察:定期的に診察を受けることで、症状の変化に対する早期対応が可能となります。

まとめ

まとめ

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

各段階でのリハビリテーションと、効果的なサポート方法について、まとめます。

リハビリテーションは、急性期から維持期に至るまで、患者様の状態に応じた段階的な介入が必要です。

各段階でのキーポイントを理解し、適切なケアを提供することが大切です。

  • 急性期では、生命を守ることが最優先されます。
  • 回復期には、日常生活への復帰を目指し、機能の回復に焦点を当てたリハビリが展開されます。
  • 維持期では、改善された機能を維持し、生活の質の向上を目指す長期的なサポートが行われます。

また、専門家によるリハビリテーションと並行して行う、家庭でのリハビリテーションが患者様の自立と再発予防に効果的です。

 在宅での適切なリハビリテーション機器の選定と使用方法の理解が不可欠です。

最後に、日常生活での注意点を守り、定期的に診察を受けることで、脳出血の再発リスクを最小限に抑えることができます。

ご家族様には、継続的なサポートをお願いいたします。

この記事を、脳出血の患者様とご家族様が安心して日常生活を送るために、お役立て頂ければ幸いです。

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この記事を書いた人
中田 裕

中田 裕

理学療法士 / 認定理学療法士(脳卒中 / 管理・運営)

2003年に理学療法士免許を取得。回復期、維持期、外来、デイケア、地域支援事業でのリハビリを経験。小児から老年期に至るまで幅広くリハビリに携わり、中でも脳血管疾患や神経難病の患者のサポートを精力的に実施。2013年にボバース認定基礎講習会を修了、2015年には認定理学療法士(脳卒中)及びNST専門療法士を取得。2024年11月より脳神経リハビリセンターに勤務。

私は「利用者様の想いをかたちにするリハビリ」を大切にしています。運動のプロフェッショナルとして根拠に基づき、利用者様とともに最善の結果に到達できるよう努力していきたいと思います。皆様との出会いを楽しみにしております。