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【知っているとこんなに違う!】脳出血の退院後を支える後遺症の対策

こんにちは!宮城県仙台市にある脳神経リハビリセンター仙台で理学療法士をしている細葉です。理学療法士のキャリアは18年になります。

脳出血の後遺症を抱える患者様とご家族様が抱える不安は計り知れません。

後遺症が改善されず、日常生活に多大な影響が出ることもあります。

この記事では、脳出血後の様々な後遺症やその対策、効果的なリハビリテーション方法をご紹介します。

この記事をお読みいただいた方の日常生活が、少しでも快適になりましたら幸いです。

脳出血の罹患者

脳出血の罹患割合

脳出血は、脳梗塞・クモ膜下出血などとともに、脳卒中に含まれる疾患のひとつです。

また脳出血は、脳卒中全体の約2割を占める疾患です。

脳卒中についての統計を見ていきましょう。

脳卒中は、昭和25年から約30年にわたって死亡の原因の第1位でした。

下記のグラフをご参照ください。

国内の主な死因疾患別死亡率(人口10万対)の年次推移
国内の主な死因疾患別死亡率(人口10万対)の年次推移
 【出典】「令和5年(2023年)人口動態統計(概数)」厚生労働省より筆者作成

現在では、その後の急性期治療の進歩により、「がん」「心疾患」に次いで第3位となっています。

ですが下記の通り、脳卒中の患者の全体の数はむしろ年々増加しています。


2020年時点では、国内の脳卒中患者は、約174万人となっています。

また脳卒中による死亡率が低下していることは、その後に後遺症を抱えて生活する方が増えているということでもあります。

介護認定の原因について

要介護度別にみた介護が必要になった主な原因の割合
40歳〜64歳の2号被保険者の方が、介護が必要となった原因でもっとも多い疾患は、脳卒中(51.1%)です。

脳卒中の51.1%は、次に多い関節疾患の9%、脊髄損傷の5%、心疾患・パーキンソン病・糖尿病の3%を大きく上回っています。

脳出血後遺症とは何か?

脳出血後遺症とは何か?

この章では、脳出血後遺症の概要と基本的な知識について解説します。

脳出血とその後に残る様々な後遺症が日常生活に与える影響までをお伝えします。

脳出血の基礎知識

脳出血は、脳内の血管が破裂し、血液が脳組織に漏れ出ることで発生し、脳を圧迫します。

それに巻き込まれた神経細胞が障害される病気です。

  • 脳出血が発生するメカニズム

    脳出血の一般的な原因には高血圧、動脈瘤の破裂、血管異常、頭部外傷などがあります。

    高血圧は、血管壁に持続的な圧力をかけ、最終的に血管が破裂することがあります。

    特に脳の細かい血管では、血管が破れていなくても毛細血管のすき間から赤血球の漏出を引き起こす可能性が高くなります。

  • 脳出血の種類とそれぞれの特徴

    脳内出血:脳出血で最も多くみられます。直接的に脳組織内に血液が漏れる状態です。

    命にかかわる状況となる場合が多く、迅速な医療介入が必要です。

    脳室内出血:脳の脳室内に出血が起こるもので、脳内の他の出血と組み合わさることが多いです。

脳出血により発生しやすい後遺症

脳出血は、その後の患者様の生活に多大な影響を及ぼす後遺症を残すことがあります。

身体的な障害と認知および言語障害についてご説明します。

  • 身体的な障害

    麻痺:脳出血が脳の運動機能を司る領域に影響を及ぼすと、患者様は片麻痺症状が現れます。

    これにより、日常生活の自立が困難になる場合があります。

    感覚障害:感覚刺激を知覚する感覚野が影響を受けた場合、身体の一部または広範囲にわたって痛み、温度、触覚の感覚が低下または失われます。

    これにより、日常生活上の様々な事が行いづらくなる可能性があります。

  • 認知および言語障害

    認知障害:脳の認知機能が影響を受けると、記憶力の低下、判断力の低下、注意力が低下するなどの症状が現れます。

    日常生活の質の低下につながり、支援が必要になることがあります。

    言語障害:ことばの理解や表現をつかさどる言語野が損傷を受けると、「話す」「聞く」「読む」「書く」などがうまくできなくなる、失語症が生じることがあります。

    これらのコミュニケーションの障害が社会参加に大きな障壁となります。

なぜ後遺症が残るのか?

脳出血による脳へのダメージは、時に患者様の生活に長期的な影響を及ぼします。

この章では、脳損傷の永続性と治療の限界、そして後遺症への対策の重要性についてお伝えします。

  • 脳損傷の永続性と治療の限界

    脳細胞が再生する能力は一生のうちで限られており、一度死滅すると再生することは、ほぼないと言われています。

    そのため、脳出血で損傷した脳組織は元の状態に戻ることは難しく、永続的な障害が残ることが多いのが事実です。

    現在の医学では、脳細胞を修復または再生する治療は確立されていません。

    治療は主に症状のコントロールと悪化の防止が主な目的となります。

  • 後遺症の予後と管理の重要性

    後遺症の予後は、脳出血の範囲と位置に大きく影響を受けます。

    患者様ごとに回復の見込みが異なり、一人ひとりの状況を適切に評価することが大切です。

    後遺症を効果的に管理するためには、継続的なリハビリテーション、適切な薬物療法、そして日常生活上のサポートが不可欠です。

脳出血後遺症の症状

脳出血後遺症の症状

この章では、脳出血後に患者様に起きる可能性のあるさまざまな症状を紹介し、それぞれの対処法についても触れます。

特に症状別の対処法は、日々の生活の質を向上させるためにお役立ていただけると思います。

しびれとその他の感覚障害

脳出血後遺症の中でも特に一般的なのがしびれやその他の感覚障害です。

この章では、しびれが発生する原因と発生するプロセス、そして日常生活での効果的な対処法について説明します。

  • しびれの原因

    しびれは、脳内で感覚情報を処理する部分が損傷を受けた結果として発生します。

    特に脳の感覚野が影響を受けると、身体の特定の部分が正常に感覚を感じられなくなります。

    この感覚障害は、脳出血による直接的な損傷の他、脳圧の増加が原因で間接的に発生することもあります。

    感覚神経が圧迫されることで、正常な信号の伝達が妨げられるためです。

  • 日常生活でのしびれの対処法

    しびれを感じる部位に対する定期的なマッサージや軽い運動は、血流を促進し感覚の回復を助けることがあります。

    特に、手足のしびれがある場合は、指や足の動きを促すエクササイズが推奨されています。

    また、安全な環境を整えることも重要です。

    感覚が鈍い部分を保護するために、適切な保護具を使用する、熱いものや鋭利なものから離れるなどの対策を取りましょう。

身体機能の障害とその対処法

脳出血による身体機能の障害は、患者様の自立と生活の質に大きな影響を与えます。

この章では、運動障害と感覚障害の具体的な対処法について解説します。

  • 運動障害と自宅でできるエクササイズ

    運動障害は、脳の中で運動のコントロールを行う運動野の損傷により発生します。

    これにより、麻痺や筋力の低下が生じることがあります。

    自宅で行えるエクササイズとしては、簡単なストレッチや筋肉を強化するための軽い筋トレが有効です。

    これらのエクササイズは、筋力低下を防ぎ、機能の回復に役立ちます。

  • 感覚障害と日常生活の工夫

    感覚障害は、感覚野の損傷によって起こり、特定の体部分の感覚が低下または失われることがあります。

    日常生活での工夫としては、感覚の低下した部分に特に注意を払い、安全な環境を作ることが重要です。

    例えば、温度感覚が低下している場合は火傷を防ぐため、熱いものから距離を取る。

    触れる際は、温度がわかる部分で確認してから触れるなどの対策を取る必要があります。

言語および認知障害の理解とサポート

脳出血は認知機能や言語能力にも影響を及ぼすことがあります。

患者様とご家族様はどのように対処するとよいでしょうか。

  • 失語症とコミュニケーションツール:失語症の患者様は、図や写真を使ったコミュニケーションボードが役立ちます。
  • 記憶障害と生活環境の整備:日常生活の中で思い出すための手がかりとなるアイテムを用意し、環境を整えることが有効です。
  • 予定を書き込めるカレンダーを毎朝座る席の横に貼ることや、付箋にメモをして貼っておくなどでも役立ちます。

脳出血後遺症の治療とリハビリテーション

脳出血後遺症の治療とリハビリテーション

この章では、脳出血後遺症の治療とリハビリテーションに焦点を当て、効果的な医療的介入とリハビリテーションの重要性について解説します。

脳出血の治療

脳出血の治療は、患者様の状態に応じて異なりますが、主に薬物療法と手術があります。

  • 薬物療法:血圧を管理し、再出血を防ぐために高血圧治療薬が用いられます。
  • 手術:状態が重篤な場合、血腫を除去するための手術が行われることがあります。

リハビリテーションの役割

リハビリテーションは、回復期と生活期という段階に応じて行われます。

それぞれの段階でのリハビリテーションの目的と効果について詳しく見ていきましょう。

回復期リハビリテーションの重要性

回復期リハビリテーションは、脳出血直後から始めることが推奨されています。

この期間に適切なリハビリテーションを行うことで、機能回復の可能性を最大限に引き出すことができます。

  • 目的:機能の回復を促進し、患者様が日常生活への復帰を目指します。
  • 方法:理学療法、作業療法、言語療法など、多職種によるアプローチを通じて行われます。
  • 効果:早期からの介入により、麻痺や感覚障害の改善、認知機能の向上が期待されます。

生活期リハビリテーションの計画と実施

生活期リハビリテーションは、長期的な視点で患者様の自立を支援することを目的としています。

ここでは、生活の質の維持、向上を図ります。

  • 目的:日常生活での自立を支援し、社会参加を促進します。

    また、生活期であっても機能回復を目指すこともできます。

  • 方法:個別のニーズに合わせたリハビリテーションプログラムを継続的に行うことが大事です。
  • 効果:慢性的な障害の管理と生活の質の向上を目指し、長期にわたるサポートを実施します。

    保険外リハビリを使うことにより、更なる麻痺や感覚障害の改善、認知機能の向上も期待できます。

↓↓↓保険外のリハビリのすすめ方に関しましては以下をご覧ください
脳梗塞の後遺症は本当に治せるのか?【諦めないリハビリのすすめ方】

脳神経リハビリセンターで行っているリハビリの例をご紹介します。

1.ふらつかないためのリハビリ(右麻痺の方の場合)

麻痺側の支えを安定させるリハビリ

1.体をまっすぐに伸ばし、左手で机を支えます。

2.左のつま先を5回ほどゆっくりと上げます。
(同じ様に踵も5回ゆっくりと上げます)

ふらつかないため、立位を安定させるリハビリはその方のレベルに合わせて難易度を変えていく必要があります。

歩きや立ち上がりに不安のある方は是非当店にご相談ください。

2.手のひらに感覚をいれて指を開きやすくするリハビリ

指を開きやすくするリハビリ

普段手が突っ張って開きづらい方は掌の感覚が鈍くなりやすいです。

膝の形に合わせてゆっくりと掌をのせて指を動かすことで緊張が落ち、指が開きやすくなります。

痛みがある場合は無理に伸ばさず、詳しいやり方などについては是非当店にご相談ください。

3.HALを使ったリハビリ

HALを使ったリハビリ
HALを使ったリハビリ2

リハビリロボットHALは運動麻痺により動きづらい部分の改善のほか様々な効果があります。

脳梗塞の後遺症である痙縮や痛みの改善にも有効です。

ご興味のある方は是非、当店の体験利用にお越しください。

日常生活と脳出血後遺症

日常生活と脳出血後遺症

この章では、脳出血後遺症の日常生活への影響を軽減するためのケア方法と生活の工夫を解説します。

家庭でのケアと生活の工夫

  • 状況に合わせた家具や器具を使用する
    • 高さ調節ができるベッドや椅子を使うことで、起き上がりや座る動作が容易にできます。
    • また、歩く際には滑りにくい床材の選択や手すりを選択することで転びにくくなります。
  • 日々の生活動作の調整
    • 日常の生活を時間帯別に計画し、無理のないスケジュールを作ります。
    • 十分な休息を取る時間をつくり、疲労がたまらないようにします。
  • ご家族のサポート
    • 家族全員で患者様のサポート方法について学ぶことで、効果的なサポートができるようになります。
    • 定期的に家族会議を開き、負担が偏らないようにサポートを再分担します。

工夫をすることで、患者様の快適さと安全性を高めること、また、ご家族全員が支援に参加することが大切です。

支援と制度の活用

主な地域支援サービス

  • 地域保健センター: 健康相談や一部リハビリサービスを安価に受けられます。
  • 福祉施設: 日常生活支援プログラムや介護サービスが受けられます。
  • 非営利組織: 特別なプログラムを運営していたり、地域の公共図書館や市役所などで情報提供を行います。

介護保険制度

介護保険制度は65歳以上のご高齢の方や特定疾患を持つ40歳以上の方が必要な介護サービスを受けられます。

介護保険で受けられるサービス

  • リハビリテーションサービス: 理学療法や作業療法などによるリハビリが行われます。
  • 日常生活支援: 食事の準備、入浴の介助、衣服の着脱介助などのサービスを受けられます。
リハビリテーションサービスは、介護保険以外に当センターのように回数の制限がなく長時間のリハビリが可能な自費でのリハビリテーションサービスも選択できます。

そのメリットをご紹介させてください。

  • フレキシブルなプログラム: 患者様のニーズに合わせた柔軟なリハビリ計画を策定することが可能です。
  • 専門的なアプローチ: 高度な技術や最新のロボットなどの器具を使用したリハビリが可能です。
  • 長時間のリハビリ: お客様の希望に合わせて、機能回復を目指すため、一度に長い時間のリハビリを行うことができます。

介護保険と自費リハビリの組み合わせにより、包括的で個別化されたリハビリを行うことができます。

回復が見込みやすい早期に、適切な時間と頻度でリハビリを行うことで、機能改善の可能性を最大限に引き出すことができます。

患者様とご家族様へのアドバイス

患者様とご家族様へのアドバイス

この章では、脳出血後遺症が及ぼす影響への理解を深め、有効な対処方法をご紹介します。

  • 病気への適応: 患者様自身が病気を理解し受け入れ、治療に積極的に参加することが何よりも大切です。
  • 心理的支援: ストレス解消や心の支えが患者様の回復に影響すると言われています。
  • ご家族の役割: 日常生活でのサポートの方法や、情緒的な支えとなる方法を身につけます。

関連情報と支援サービス

このセクションでは、脳出血後遺症を抱える患者様とご家族様が必要な情報と支援を受けるための方法をご紹介します。

  • 信頼できる情報源の確保
    • 医療機関や専門家からの直接のアドバイスを求める。
    • 公的な健康情報のウェブサイトや、健康情報を利用する。
    • 患者支援団体やコミュニティグループに参加する。
  • ネット上とリアルのコミュニティを活用
    • 地域の支援グループやセミナーに参加して、経験を共有する。
    • オンラインフォーラムやSNSでの支援グループに参加する。
    • 専門家が主催するウェビナーやオンラインサロンに参加する。
  • 地域の支援サービスを利用する
    • 市町村や地方自治体が提供する健康情報を利用する。
    • 地域の図書館やコミュニティセンターで開催される勉強会を活用する。

これらを活用することは、適切な治療とサポートを受けるための情報収集にとても有効です。

まとめ

まとめ

脳出血の後遺症について振り返ります。

  • 脳出血は後遺症への理解を深め、適切な対応方法を確立することが大切です。
  • リハビリテーションは、早期から行い、利用できるサービスを組み合わせることで、最大の効果を得ることが可能です。
  • 地域の支援を利用し、ネット上とリアルでの情報提供を活用して、不安やストレスを軽減しましょう。

この記事が、患者様とご家族様の生活への不安を解消する一助となれば幸いです。

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この記事を書いた人
細葉 隆

細葉 隆

理学療法士

2006年に理学療法士免許を取得。
一般病院・訪問リハビリ・介護老人保健施設・通所リハビリと全てのステージで脳卒中を中心としたリハビリを経験。
2024年、公的保険で回復できなかったお客様の改善をしたいという想いから、脳神経リハビリセンター仙台に勤務。

私はこれまでに様々なお客様とそのご家族とリハビリを通して関わってきました。お客様の夢や目標に向かってチームとして、そしてセラピストとして携わってきました。私のモットーはお客様や家族の方と同じ方向を向き、寄り添いながら一緒に進んでいくことです。
脳神経リハビリセンターでは、充分な時間と最新の機材が整っており、リハビリを必要としている方の夢を叶える場所であると確信しています。
1回1回のリハビリを通じて、小さな変化や気付きに喜びを分かち合い、目標が達成に向けて一緒に頑張ってみませんか。
皆様との出会いを楽しみにしています。