後遺症
SEQUELAE
脳卒中では、以下のような後遺症が残る場合があります。
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身体の麻痺
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感覚の障害
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言葉の障害
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記憶の障害
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視覚の障害
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認知の障害
上記の後遺症は、脳の破壊によって残る障害です。死滅した脳細胞に対する直接の治療はありません。命に別状がなくとも、多くの脳卒中は後遺症が残ります。
以下、回復までに要する期間の目安です(※)。
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発症〜20週目:大きな回復が見込まれる期間
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21週目〜約1年半:回復の程度が緩やかな曲線状となる時期
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1年半〜:回復は横ばいとなる
発症から1年半以上を過ぎても残る症状は、障害として残存する可能性が高くなります。しかし、障害の存続によって社会復帰ができないわけではありません。社会資源や装具・補助機器などの活用により、生活の制限は補えます。そのためには、医療・福祉・介護の総合的な支援サービスの活用が重要です。
※出典・参照:厚生労働省「脳卒中の治療と仕事の両立お役立ちノート」
当リハビリセンターのリハビリ
REHABILITATION
一般的なリハビリ
脳卒中のリハビリでは、急性期で命をつなげた後、回復期で生活を目指したリハビリを行います。最長6カ月の間、退院に向けて理学療法士による基本動作(寝返り・起き上がり・立ち上がり・歩行)の訓練を行い、作業療法士による生活機能(家事・車の運転・パソコンの操作等)の訓練が実施されます。
この回復期の6カ月間は、脳の神経が自然に回復する、大切な時期となっています。そのため、この限られた期間に、お客様の症状や機能に合わせたリハビリが立案されます。
近年の回復期病棟の方針として、「早期離床」つまり、早い段階で身体を起こし、歩行訓練を実施する事が増えています。早期のリハビリでは、歩行や動作練習と言った運動療法や麻痺に対しての感覚入力が集中的に行われます。この段階でのリハビリは「脳卒中 理学療法診療ガイドライン」や多くの症例によって高いエビデンスがあり、根拠に基づいて実施されております。
また、急性期で寝たきりになっていた分、体力が低下しているので、心肺機能に対してのリハビリを並行して行います。退院後の患者を追跡した調査によると、維持期脳卒中片麻痺患者の毎日の歩数は心肺機能と大きく関与しており、心肺機能は歩行能力に大きく紐付いています。
このように病棟では、退院に向けたリハビリを集中して行います。しかしこの期間でどこまで回復するかは、個人差があります。回復が長引いた場合は、基本動作の練習を主になり、その先にある生活機能に対する練習が遅れてしまう可能性が高くなります。
退院後、リハビリを受けられなくなるわけではありません。介護保険制度を利用し、通所介護(デイサービス)・通所リハビリテーション(デイケア)、訪問リハビリを利用する事が可能です。しかし、当リハビリセンターのような設備は備わっていない病院が多く、リハビリの目的が現状維持にとどまります。また介護保険制度においては、リハビリの回数や時間の制限が年々拡大しています。
脳卒中発症後は急激に機能が低下します。損傷した部位は時間とリハビリにより、徐々に回復していきますが6カ月を過ぎると停滞してしまいます。またこの期間は、脳卒中による入院できる日数の上限と重なるため、6カ月後に適切なリハビリを受けるか受けないかで、後遺症や身体機能に大きく影響します。(図1)
図1 【参考文献】Hypothetical pattern of recovery after stroke with timing of… | Download Scientific Diagram
当リハビリセンターのリハビリ
当リハビリセンターは、病院と遜色のないリハビリが提供できるよう、専門知識と最新の機器を兼ね備えた施設となっております。リハビリの内容としては、麻痺による手を使用した作業、歩行を始めとした基礎動作等々、お客様のニーズに全て応えられるようになっております。
主な流れは、以下のとおりです。
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体験時にカウンセリング、全体の評価及びリハビリ
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体験後、問題点や課題を把握
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機能改善・目標達成までのプランを立案
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お客様のニーズに合わせたリハビリを実施
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再評価・目標の達成度の確認
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目標達成
また当リハビリセンターは、一般的なリハビリ施設との大きな違いが2つあります。
(1)お客様のニーズを優先
後遺症で、日常生活は送れても「出勤が大変」「家事ができない」「趣味を再開したい」「子育てにまた参加したい」等々、退院した後で「もっとリハビリをやっていれば良かった・・・」と思う方が多いかと思います。
同じ脳卒中という病気や後遺症でも、人によって悩みは千差万別です。お客様が持っている「悩み」や「もう一度やりたい事」があれば、是非ご相談ください。私たちは、お客様のニーズ・希望に沿って、リハビリ計画・目標の立案を実施し、寄り添いながらリハビリを行っていきます。
(2)セラピストと最新のテクノロジーの融合
また当リハビリセンターでは、最新のテクノロジーを使用したリハビリにも力を入れております。身体を動かすには、お客様ご自身の意思が必要不可欠となります。セラピストがただ意図的に動かすよりも、「イメージした動作」と「実際の動作がリンク」することによって脳は活発になります。このことを繰り返し、「できた!」と言う感覚を増やし、モチベーションを上げることが脳性麻痺のリハビリの基礎となります。
それを実現するテクノロジーとして、当リハビリセンターでは筑波大学が開発したロボットスーツ HAL®(Hybrid Assistive Limb®)や信州大学が開発した歩行支援ロボットcurara®を活用してリハビリを実施していきます。これらのロボットは、実際に脳卒中をはじめとした、脳・神経に関する疾患を患った方に対して、改善が見られた実績のあるリハビリロボットになります。
このようにセラピストの専門的な知識と経験、テクノロジーでお客様の秘めている能力を引き出す事で後遺症の改善を目指していきます。改善した後は、そこから動作に繋げ、生活に繋げ、暮らしに繋げると言う順序で脳卒中に対するリハビリを行います。
最後に
このようにセラピストとリハビリロボットを組み合わせ成功体験を増やしていくのが、当リハビリセンターの特徴となっております。成功体験が増えると「また挑戦してみよう」「どうやって動かそう、こうすると動きやすいくなるのでは?」と考えるきっかけになります。考えることは脳を刺激しますので、新たに神経の回路を構築し機能の改善につながります。適切な難易度を設定していき、段階を踏みながら目標を達成していけるリハビリを行います。
些細な事でも大丈夫です。脳卒中後遺症で困っている事がありましたら、是非ご相談ください。私たちはいつでもお待ちしております。