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パーキンソン病になったら読んでほしい【これからに備える基礎知識】

こんにちは!愛知県名古屋市にある脳神経リハビリセンター名古屋で理学療法士をしている水谷です。理学療法士のキャリアは7年になります。

パーキンソン病は症状の進行によって、患者様とご家族様の日常生活に多大な影響を及ぼしていきます。

パーキンソン病では、今できている日常生活を、できる限り維持していくことが、とても大切です。

たとえば歩くこと

たとえば話すこと、字を書くこと、着替えること・・・

この記事では、パーキンソン病の効果的な治療方法、日常生活の工夫などを紹介し、病気との上手な付き合い方をご紹介します。

パーキンソン病の患者様が安心して治療への一歩を踏み出される一助となれば幸いです。

パーキンソン病とは?

パーキンソン病とは?

この章では、パーキンソン病の基本的な情報を詳細に解説します。

病気の概要から公衆衛生上の重要性、発症のメカニズム、病状の分類まで、包括的にご紹介します。

世界と日本の罹患率

パーキンソン病の罹患率は、世界的に見ても高齢化とともに増加しています。

日本では、高齢化が進むにつれて、新たに診断される患者数も年々増加しており、国民病の一つとも考えられています。

国内の患者数

国内のパーキンソン症候群の患者数

国内で継続的にパーキンソン症候群の治療を受けている患者数は、厚生労働省が2022年6月に公表した

「令和2年(2020)患者調査」(33ページをご参照下さい)で、28万9000人と報告されています。

これは「平成29年(2017)患者調査」から112万7000人も増加しています。
患者調査

また年齢別の統計(政府統計資料)を見ると、65歳以上が26万7000人で全体の92.4%を占めており、

高齢の方が圧倒的に多いことが分かります。

パーキンソン病とは

パーキンソン病は、脳内のドーパミンを産生する神経細胞が徐々に失われることで起こる神経変性疾患です。

パーキンソン病は、1817年にジェームス・パーキンソンによって「振戦麻痺」として初めて詳細に記述されました。

現代では、公衆衛生上重要な課題となっており、高齢化社会においてその影響は増大しています。

発症のメカニズム

パーキンソン病の主な原因は、中脳の黒質と呼ばれる部分の神経細胞が減少してしまうことです。

これにより、運動を制御する重要な神経伝達物質であるドーパミンが不足し、手の震え、筋肉の固さ、動作の遅さなどの症状が現れます。

ヤール分類とは

ヤール分類は、パーキンソン病の進行を5段階に分けて評価する方法です。

この分類は、病気の進行具合を理解し、治療計画を立てる際の基準として広く用いられています。

パーキンソン病の3つの原因

パーキンソン病の3つの原因

この章では、パーキンソン病の主な原因を3つに分けて詳細に解説します。

これらの原因を理解することで、リスク管理や予防策についての洞察が得られるでしょう。

遺伝的要因

遺伝的要因はパーキンソン病のリスクを大きく左右します。

近年では、PARK22/CHCHD2 という遺伝子の変異によるパーキンソン病発症メカニズムが、明らかになってきています。

環境的要因

環境的要因もまた、パーキンソン病に大きな影響を与えることが知られています。

以下に、主な環境的リスク要因を示します。

  • 農薬や溶剤などの化学物質
  • 過度のストレスや極度の生活環境など

加齢による要因

加齢はパーキンソン病発症の代表的な要因です。

病気の発症が高齢になるにつれて多くなることは、前述の通りです。

パーキンソン病の初期兆候

パーキンソン病の初期兆候

この章では、パーキンソン病が初期段階で示す兆候と、一般に見逃されがちなサインに焦点を当てて解説します。

早期発見が治療効果を高めるため、これらの情報の理解は非常に重要です。

初期症状

パーキンソン病の初期症状は多岐にわたりますが、以下のような典型的な症状が見られます。

  • 手足の震え、特に安静時に顕著
  • 筋肉の硬直や動作の遅さ
  • 歩行時のバランスの問題

これらの症状は日常生活に支障をきたす前に対処することが推奨されます。

見逃しやすいサイン

初期のパーキンソン病は、以下のような見逃しやすいサインを示すことがあります。

  • 表情の乏しさ(仮面様顔貌)
  • 声のトーンの変化や話す速さの低下
  • 小さな字での書きづらさ

これらの初期兆候を見逃さず、早期の診断と適切な管理をしていくことが重要です。

パーキンソン病の症状

パーキンソン病の症状

この章では、パーキンソン病の典型的な症状、それらの進行、そして患者様ごとの症状の違いについて解説します。

また、これらの症状を効果的に管理する方法もご紹介します。

典型的な症状とその進行

パーキンソン病は、主に運動機能に影響を及ぼします。

以下は、最も一般的な症状のリストです。

  • 手の震え(振戦)
  • 筋肉のこわばり(固縮)
  • 動作の遅さ(無動)
  • 歩行やバランスの問題(姿勢反射障害)

これらの症状は徐々に進行し、患者様の日常生活に大きな影響を及ぼす可能性があります。

症状の個人差

パーキンソン病の症状は患者様ごとに大きく異なります。

ある患者様は振戦が主な症状である一方で、他の患者様は固縮や無動がより顕著だったりします。

個々の症状の違いは以下の要因によって左右されます。

  • 患者様の年齢
  • 病気の進行度
  • 全体的な健康状態

このため、治療計画は個々の患者様に合わせて調整する必要があります。

対処法

パーキンソン病の症状を管理する方法は多岐にわたりますが、主に以下の治療が用いられます。

  • 薬物療法
  • リハビリテーション
  • 生活習慣の改善

これらの治療を組み合わせることで、症状の管理と患者様の生活の質の向上を目指します。

 ↓↓↓症状に対処する実用的な方法については、こちらで詳しくご説明しています。
パーキンソン病の震える症状対策!【いつがよく出る?】

パーキンソン病の治療法

パーキンソン病の治療法

この章では、パーキンソン病の治療に用いられる薬物療法、最新の治療技術、自己管理方法、そしてリハビリテーションに焦点を当て、それぞれの治療法の効果と実践方法について詳しく解説します。

主な薬物療法

パーキンソン病の治療には以下の薬物が一般的に用いられます。

  • L-Dopa
  • COMT阻害薬
  • MAO-B阻害剤

これらの薬は症状の管理に効果的といわれており、患者様の生活の質を向上させることが期待されます。

最新の治療技術

最新の治療技術には以下のものがあります。

  • 深部脳刺激術(DBS):電極を脳の特定の部位に埋め込み、電気刺激を用いて症状を管理します。

これらの先進的な治療は、従来の方法では難しかった症状の改善を目指します。

自己管理

自己管理は患者様にとって重要な役割を果たします。

以下の方法が推奨されます。

  • 適切な運動習慣の維持
  • バランスの取れた食生活
  • 十分な休息とストレス管理

これらの自己管理法によって、日常生活における自立を支援し、症状の進行を遅らせることが可能です。

リハビリテーション

リハビリテーションは、患者様の身体的な機能を向上させるために不可欠です。

主に以下の治療が行われます。

  • リハビリテーション:運動機能の改善を図ります。
  • 日常生活動作の練習:日常生活での自立を促進します。
  • 言語療法:話す、食べる、飲む能力の向上を図ります。

これらの療法により、患者様の自信と生活の質が向上します。

脳神経リハビリセンターで行っているリハビリをご紹介します。

今回は脳神経リハビリセンターで行なっているリハビリの中から、ご自宅でも行えるストレッチを選んでご紹介します。

パーキンソン病で固くなりやすい筋肉の緊張を緩めることにより、震えを軽減し、日常生活の動作をしやすくする効果が期待できます。

手のストレッチ

やり方

 ・椅子に座って背筋を伸ばします(立った姿勢でもOK)

 ・壁に手のひらを着きます(手のひらは天井に向けます)

 ・体を前に倒していき、腕の内側の筋肉を伸ばします。

手のストレッチ

胸とお腹のストレッチ

やり方

 ・クッションをお腹の下に敷きます。

 ・クッションの上にうつ伏せになります。

 ・ゆっくり深呼吸して胸とお腹を伸ばします。

(できる方は無理のない範囲で少しずつクッションを外して高さを低くしていき、背中を反らせていきます)

胸とお腹のストレッチ

肩のストレッチ

やり方

 ・椅子に座って背筋を伸ばします。

 ・前方のテーブルに手を置きます。

 ・体を前に倒していきます(ゆっくり息を吐きながら)

肩のストレッチ

パーキンソン病の寿命への影響

パーキンソン病の寿命への影響

この章では、パーキンソン病が患者様の寿命にどのように影響するかを詳細に解説します。

また、病気の進行が寿命に与える変動についても考察します。

パーキンソン病が寿命に与える影響

パーキンソン病は進行性の神経変性疾患であり、適切な治療を受けない場合、平均寿命に影響を与える可能性があります。

研究によると、パーキンソン病は次のように寿命に影響を及ぼします。

  • 症状の管理が難しくなるにつれて、合併症のリスクが高まります。
  • 適切な介護と治療が提供されれば、患者様の生活の質は大きく改善されることがあります。

ただし適切な治療を受けることで、病気の進行を遅らせ、寿命に及ぼす影響を抑えることが期待されます。

病気の進行と寿命の変動

パーキンソン病の進行速度は患者様によって異なりますが、病状の進行が、以下のように寿命に影響を与える場合があります。

  • 病状が進むにつれて、自立した生活が難しくなり、介護が必要になることがあります。

早期診断と適切な管理により、病状の進行を遅らせることが重要と言われています。

パーキンソン病への対処

パーキンソン病への対処

この章では、パーキンソン病に直面している患者様やご家族様が日常生活を楽にするための工夫、家族の支援、および社会的支援について詳しく解説します。

日常生活での工夫

パーキンソン病を抱える患者様が日常生活で快適に過ごすための工夫をいくつか紹介します。

  • 滑りにくい靴や敷物を使用する。
  • 手すりなどを設置する。
  • 定期的に運動を行う。

これらの工夫により、患者様の自立を支援し、日々の生活の質を向上させることが期待できます。

家族の支援

パーキンソン病患者様を支えるご家族様には、次のようなサポートが求められます。

  • 情報を共有し、適切な医療ケアを受けるための支援。
  • 感情的なサポートを提供し、ポジティブな環境を維持。
  • 日常のケアや通院の手助け。

これらの支援により、患者様の心身の健康を保つことができます。

社会的支援

社会的支援は患者様とご家族様がパーキンソン病と向き合う上で重要です。

以下は、利用可能な支援の例です。

  • 地域の支援団体やパーキンソン病協会。
  • 介護サービスやデイケアプログラム。
  • 行政や民間の福祉サービス。

これらのリソースを活用することで、治療と生活の両方での負担を軽減し、質の高いケアを受けることが可能です。

まとめ

まとめ

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

パーキンソン病は、現時点の医療では進行を止めることはできません。

ですが、早期に対策をすれば、今できることを長く維持することが期待できます。

是非お早めにお近くの専門機関にご相談ください。

ここで出会えた皆様が希望ある未来を築いていただけますよう、心より祈っております。

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この記事を書いた人
水谷 滉希

水谷 滉希

理学療法士

2017年に理学療法士免許を取得。同年より理学療法士として勤務。一般病棟、地域包括病棟、回復期病棟、外来リハビリ、訪問リハビリ等様々な分野でのリハビリを経験。
2022年には名古屋市内の回復期病棟立ち上げをチームリーダーとして携わる。2023年10月脳神経リハビリセンター名古屋に勤務。
私は常に「諦めない気持ち」を大切にしています。セラピストとお客様が二人三脚となり、最後まで諦めず目標達成を目指しています。全力でサポートさせて頂きます。目標達成に向けて一緒に歩んでいきましょう。