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脳卒中と血圧の関係|コントロールして予防する方法

みなさんこんにちは、脳神経リハビリセンター名古屋の理学療法士の大野です!
今回は脳卒中と血圧の関係についてお伝えしていこうと思います。脳卒中とはなにか、高血圧の原因はなにかなど、基本的なところから脳卒中の予防に使える血圧の知識まで幅広く解説していきます!
知らない間に脳卒中のリスクを高めていた・・・ということにならないように、正しい知識を身につけて予防しましょう!ぜひ最後まで読んでいって下さい!

脳卒中の原因

脳卒中の説明

脳卒中とは

脳卒中とは脳の血管が破れたりつまったりすることで脳に障害をもたらす病気です。
血管が破れることを脳出血、つまることを脳梗塞と言い、以下の4種類があります。
1.脳出血
2.くも膜下出血
3.脳梗塞
4.一過性脳虚血発作
どれも血管が原因でおきる病気であるため、血圧とも深い関わりがあります。

脳卒中の割合

現在、脳卒中の新規発生者は年間22万人、再発も含めると年間29万人と言われています。
その中でも65歳以上で発症しやすい脳卒中ですが、近年では40〜50歳代の方でも増えてきていると言われています。この年代の方は特に血圧などのトラブルもかかえやすい年齢といえるのではないでしょうか。
脳卒中の発生者数

脳卒中の危険因子

脳卒中の危険因子はいくつもあり、多くが生活習慣に関わるものです。

危険因子
・加齢
・肥満
・喫煙
・飲酒
・高血圧
・糖尿病
・動脈硬化
・高脂血症
・ストレス
・不整脈(心房細動)

危険因子の中でも特に「加齢」と「高血圧」に大きなリスクがあります。加齢はとめることはできませんが、高血圧は管理することができます。そのため、血圧の管理をして脳卒中を予防することがとても重要になってきます。

血圧について

血圧

血圧とは

心臓から全身に送り出される血液の、動脈の内側にかかる圧のことです。言い換えると血液がどれくらいの強さで血管を押しているかの値になります。一般にはその圧を直接図ることができないため、腕などの太い血管で測定をします。

収縮期血圧(最高血圧)=心臓が強く収縮して(縮んで)血液を押し出した時の血圧
拡張期血圧(最低血圧)=心臓が緩み血液が心臓に戻るときの血圧
血圧について

血圧の基準

血圧の正常値は以下の通りです。
正常血圧  

収縮期血圧:120mmHg 未満  
拡張期血圧:80mmHg未満

血圧は変動をするため、安静時(食後・入浴後はさける)に計測した値を参考にする必要があります。

高血圧とは

高血圧とは繰り返し計測しても正常より血圧が高い場合を指します。
高血圧の基準

収縮期血圧:130mmHg 以上  
拡張期血圧:80mmHg以上

そして高血圧には本態性高血圧と二次性高血圧とがあります。

本態性高血圧
塩分の過剰摂取、飲酒、運動不足などさまざまな要因が重なって生じるもの。
一般的に高血圧とはこちらを指します。

二次性高血圧
他の病気が原因で血圧が高くなる場合。睡眠時無呼吸症候群など。

血圧は、一時的な高血圧よりも慢性的(長期間)に高血圧であることの方が問題となります。運動後の血圧上昇などは正しい反応で、過剰でなければ問題とならないことが多いです。ただし、脳出血のリスクが高い方(動脈瘤がある、動脈硬化がある、脳出血の既往があるなど)は過度な血圧上昇がないかは確認する必要はあります。

高血圧の原因

高血圧はいくつかの原因が重なり合って起きる場合がほとんどです。
高血圧の原因となる要素
・老化
・喫煙
・飲酒
・肥満
・体質
・過労
・ストレス
・運動不足
・塩分の摂り過ぎ
・不規則な生活習慣

老化や体質など自分では変えられないものもありますが、その他に関しては生活習慣の見なおしで改善できるものがほとんどです!そしてこれらの原因があると、他の生活習慣病にもなりやすいため心当たりがある人は一度見直してみましょう。
 
 詳しくはコチラ▶︎脳卒中と生活習慣病の関わりとは

脳卒中と血圧の関係

脳卒中と血圧

高血圧による脳卒中のリスク

慢性的な高血圧は脳卒中のリスクをあげます。高い状態がつづくと、血圧がダメージを受けその傷ついたところからLDLコレステロールが入り込み、血管が肥厚(分厚く)していきます。これが動脈硬化です。これにより柔軟性がなくなるため、血管が破れたり(脳出血)、血管がつまったり(脳梗塞)しやすくなってしまいます。そのため、いつも血圧が高いという方は注意が必要です。
動脈硬化にはLDLコレステロールの増加も関わっており、高血圧とともに、脳卒中の大きな要因となります。

脳卒中になると血圧はどうなる?

脳卒中急性期ではさまざまなストレス、尿閉、脳圧亢進などの多くの要因で血圧があがっていることが多く、発症1〜2週間かけてゆるやかに血圧がさがってきます。コントロール不良な場合は点滴などで、血圧をコントロールして、再発や合併症防止につとめていきます。症状が落ちついてからは点滴から薬での血圧コントロールにかわっていきます。

脳卒中の血圧管理

急性期では近年、早期の離床が推奨されていますが、血圧の変化に気をつけながら離床をすすめていきます。
慢性期では、脳梗塞の場合は収縮期血圧140mmHg未満拡張期血圧90mmHg未満とされています。脳出血の場合は収縮期血圧130mmHg未満拡張期血圧80mmHg未満が推奨されています。脳梗塞の方がやや高めに設定されているのは、脳梗塞は血管がつまることで起きる病気であり、下がりすぎても血管がつまるリスクが生じるためです。

また、脳卒中になった方の場合、血圧測定は麻痺側と反対の腕ではかるようにしましょう。麻痺側ではかると循環の低下などで、実際より低くでてしまうことがあるためです。

血圧を管理して脳卒中を予防

高血圧の治療は大きく分けて3つあります。
①薬物療法
②運動療法
③食事療法

①薬物療法

高圧剤と呼ばれる血圧を下げる薬による治療になります。合併症(その他の疾患)や年齢などによっても使う薬がちがってくるため、医師と相談して薬を決めていきます。
服用は規則正しく、毎日服用することが大切です。私が病院で勤務していた頃、血圧が下がってきたため自己判断で薬を飲むのをやめてしまい、脳梗塞になられた方も少なくありませんでした。薬を調整するときも必ず自分では決めず、医師との相談のもと行っていきましょう。

②運動療法

高血圧の予防には有酸素運動がおすすめです。有酸素運動とは、簡単にいうと長い時間つづけられるやや軽めの運動のことです。具体的にはウォーキング、エルゴメーター、水泳などがよいと言われています。つよい負荷の運動(いわゆる筋トレ)とは違ってきます。
運動は一時的に血圧を上昇させることはありますが、長くつづけることで血圧をさげる効果があります。
特に、習慣的な有酸素運動は収縮期血圧を3.5mmHg・拡張期血圧を2.5mmHg低下させ、高血圧者においても収縮期血圧を8.3mmHg・拡張期血圧を5.2mmHg低下させる効果があるといわれています。

引用元
タイトル:高血圧症を改善するための運動
サイト名:e-ヘルスネット(厚生労働省)

おすすめの設定
・内容:有酸素運動
   (ウォーキング、ジョギング、エルゴメーター、ステップ運動、水泳)
・頻度:週に3〜4回(できれば毎日)
・時間:30分ほど
・強度:ややきついと感じる程度の負荷(中等度の負荷:最大酸素摂取量の40〜60%)

③食事療法

塩分
厚生労働省は塩分の摂取目標として、男性:1日8g、女性:1日7g以下としています。高血圧の予防には男女ともに1日6g未満がよいとされています。ラーメン1杯だけでもこえてしまうため、食べるときには汁は飲まないなどの配慮をしましょう。

控えた方がよい食べ物
・漬物 0.5-2.5g
・佃煮 0.7g
・練り物 0.7g
・ハム(3枚) 1.5g
・味噌汁2.0g
・ドレッシング(大さじ1) 0.3g
・寿司(10貫) 3.7g
・ラーメン 5.5-8.0g

引用元
タイトル:食品成分データベース
サイト名:食品成分データベース(文部科学省)

アルコール
少量のアルコールであれば血管拡張効果があると言われていますが、過度の摂取は血圧を上げる作用があります。特に習慣的な飲酒は血圧を上げ、高血圧の原因になります。また、酒のつまみには塩分の含まれているものも多くあるため、これも高血圧の原因になっているかもしれません。

おすすめの食べ物5選
塩分を体の外へ排出するカリウムや、マグネシウム・カルシウムなどのミネラルを多く含んだ食べ物は、血圧をさげる作用をもっています。
・野菜(ほうれん草・アボカド・カボチャ・ごぼう・春菊など)
・海藻類
・ナッツ(アーモンド・カシューナッツ)
・果実(みかん・バナナ・りんご・キウイなど)
・ヨーグルト

血圧にまつわるよくある質問

血圧計

糖尿病も原因になる?

糖尿病と高血圧は密接な関わりがあります。主に以下の3つの理由から糖尿病になると高血圧を引き起こしやすくなります。

高血糖
血糖が高い状態では、浸透圧の関係で細胞内から水分がでやすくなり、結果として血液 中の水分が増え、高血圧につながります。

インスリン感受性の低下
インスリンが過剰に分泌されることで、交感神経の緊張・腎臓での塩分排泄の低下を引きおこし、血液量が増え、血圧が高くなります。

腎機能の低下
腎臓からのナトリウムの排泄がうまくいかず、体内の水分量が増えることで血圧が上昇します。

タバコとの因果関係は?

喫煙は血圧を上昇させる要因のひとつです。タバコに含まれる成分(ニコチン)が、血管収縮作用をもち、血圧の上昇につながります。喫煙後に手足の血流の流れがわるくなり、冷えたりすることもあります。タバコ自体が動脈効果など脳梗塞などの原因になるとも言われています。

いかがだったでしょうか?脳卒中と関わりの深い高血圧ですが、対策は今日からでも実践できるものも多いです!知識を正しく身につけ、脳卒中を予防していきましょう!

この記事を書いた人
大野 真之介

大野 真之介

理学療法士 / 認定理学療法士(脳卒中)

2016年に理学療法士免許を取得。同年より愛知県内の大学病院で勤務し、回復期・急性期・外来のリハビリを経験。急性期ではSCU(脳卒中集中治療室)の専任理学療法士としても勤務。
これまで主に脳血管疾患・脊髄損傷・神経難病の方のリハビリに携わる。2020年に日本理学療法士協会の認定資格である認定理学療法士(脳卒中)を取得。2022年11月から脳神経リハビリセンター名古屋に勤務。
私は常に「一緒に進めるリハビリ」を心がけています。療法士がリハビリをするのではなく、お客様にも“動き方”や“変化”を知ってもらいながら、運動を通して目標達成を目指しています。目標に向けて一緒に挑戦していきましょう。全力でサポートします。