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コラム

皆さんこんにちは、脳神経リハビリセンター名古屋の理学療法士の大野と申します。私は理学療法士になって7年目になります。
本日のテーマは “生活習慣病”です。
普段の生活でもよく耳にすると思いますが、一体どんな病気なのでしょうか?
今回はそんな生活習慣病についてと脳卒中との関わりについてお話していこうと思います。
脳卒中を予防する上でとても重要なのでぜひご覧ください!

脳卒中とは?

脳卒中とは?

まず、脳卒中とはどんな病気でしょうか?
脳卒中とは脳の血管が破れたり詰まったりすることによって脳に障害をもたらす病気の総称です。「脳梗塞」「脳出血」「被殻出血」など様々言葉を聞くかもしれませんが、それらはすべて脳卒中に含まれます。脳卒中は原因によって以下の4つに分けられます。
①脳出血
②くも膜下出血 
③脳梗塞 
④一過性脳虚血発作(TIA)

出血性脳卒中(脳の血管が破れることで起きる) 

①脳出血

脳出血とは 脳内の血管が破れることで脳実質にダメージをきたすもののことです。脳の血管が破れて出血するため「脳出血」と言います。出血した部位によって被殻出血・視床出血・小脳出血・皮質下出血などと呼ばれたりします。

②くも膜下出血

くも膜下出血とは、その名の通り「くも膜」という膜の下で生じる出血のことです。脳は軟膜・くも膜・硬膜の3層になっており、軟膜とくも膜の間をくも膜下腔と言います。そのくも膜下腔の中に走る血管が破れることで生じる出血のこと
をくも膜下出血と言います。血管が破れる病気なので、血管がもろくならないように予防していく必要があります!

虚血性脳卒中(脳の血管が破れることで起きる)

③脳梗塞

脳梗塞とは脳の血管が詰まることによって脳実質に障害をきたすもののことです。血液が「詰まる=梗塞」するため「脳梗塞」と言います。血管の詰まり方によって、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳梗塞、ラクナ梗塞、その他に分類されます。脳出血と同様に、部位によって放線冠梗塞・視床梗塞・延髄梗塞などと呼ばれます。

④一過性脳虚血発作(TIA)

一過性脳虚血発作とは一時的に脳の血管が詰まって、言語障害や片麻痺などの症状が、再開通して症状が消失するもののことを言います。以前は24時間以内に症状が改善するものと定義されていましたが、現在は持続時間は問われなくなりま
した。一過性ではありますが、脳梗塞に移行するリスクも高いため、症状がすぐに消えたとしても一度病院を受診することをおすすめします!(脳梗塞の前触れとして一過性に症状があった方も多いです)
血管が詰まる病気なので血管が厚くならない、血液がドロドロにならない、血管に脂肪が溜まらないように予防していく必要があります!このような状態を防ぐために普段の生活習慣が大切になってきます。

生活習慣病とは?

生活習慣病とは?

生活習慣病とは、食事・運動・睡眠・喫煙・飲酒などの生活習慣が深く関係し、それらが発症の要因となる疾患をまとめて生活習慣病と言います。脳卒中・心臓病・がん(悪性新生物)・糖尿病・脂質異常症など多くの病気が生活習慣病に含まれます。以前は「成人病」とも言われていまし。しかし、成人でも生活習慣の改善により予防が可能であり、成人でなくても発症する可能性があることから「生活習慣病」と呼ばれるようになりました。名称が変わってきたことからも、どの年代の人もかかる可能性があると思って予防をする必要があります。

生活習慣病の割合

では実際、生活習慣病の方はどれくらいいるのでしょうか?現在、生活習慣病で医療機関にかかっている人は約1400万人いると言われています。
医療機関にかかっているだけでこの人数なので実際はもっと多いかもしれません。これだけ身近にある病気だからこそ、しっかり予防についての知識を深め、実践していくことが大切です。

生活習慣病を防ぐには

生活習慣病を防ぐには、やはり生活習慣の見直しが大切です。その名の通りですが、実際にどのような生活習慣が良いのか見ていきましょう。

食事

食事を規則正しく・適切な量をとることが生活習慣病の予防となります。
規則正しくとは、「3食」「決まった時間」「バランスよく」摂ることです。
そして適切な「カロリー量」「塩分」「コレステロール」を摂取するよう心掛ける必要があります。食物繊維の多い食べ物(大豆、野菜、きのこ類、果物など)はコレステロールや血糖の上昇を抑えたり、生活習慣病の予防に効果的です。
食事は体のエネルギー源ではありますが、正しく・適切にとることを心掛けましょう!

睡眠

個人差はありますが、6-7時間の睡眠が必要と言われています。睡眠は心身ともに疲労を回復する働きがあります。日中眠気がくる・1日中だるい感じがする・疲れが取れない、などの症状がある人は一度睡眠時間を見直してみてもいいかもしれません。
また、肥満があると無呼吸症候群を引き起こす場合もあり、それによってまた不眠となるなど悪循環におちいる可能性もあります。

喫煙

喫煙はがん・脳卒中などを引き起こす原因となります。これは喫煙により動脈硬化や血栓形成が進むためです。動脈硬化や血栓形成が進むと、血管が肥厚したりプラークが溜まり血液の通り道が狭くなります。これによって、虚血性脳卒中を引き起こす原因となったりします。

飲酒

アルコールには急性の影響・慢性の影響があります。急性の影響としては短時間の多量飲酒による急性アルコール中毒です。そして慢性の影響としては脳卒中、がんなど生活習慣病の多くの病気と関わります。そして長期に渡る多量飲酒は依存性を高めることも過度な飲酒のおそろしい部分です。では、適度な飲酒とはいったいどの程度でしょうか?厚生労働省によると、男性は1日あたり純アルコール10~19g・女性では1日あたり純アルコール9gまでで最も死亡率が低いと言われています。そして節度ある適度な飲酒としては1日あたり平均純アルコールで約20g程度と言われています。
飲酒

【参考】
ページタイトル:健康日本21(飲酒)
サイト名:厚生労働省
URL:https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b5.html

運動

適度な運動は生活習慣病の予防に効果的です。運動をすることで、血糖値や中性脂肪を低下させたり・血圧を下げる効果があります。血圧が下がることで、血管へのダメージが減り脳卒中などの予防にも繋がります。
運動の中でも特に有酸素運動がおすすめです。最も簡単で取り入れやすい運動でおすすめなのが歩行です。1日8,000〜9,000歩以上が推奨されています。いきなりこの歩数が難しいという方はまずは万歩計で普段の歩数を測ってみて下さい。そこからプラス1000歩などと目標を決めてもいいと思います。その他にも自宅でできる運動などをInstagram(インスタグラム)で発信しているのでよければそちらもご覧ください!

脳卒中と生活習慣病の関係

脳卒中と生活習慣病の関係
脳卒中の危険因子
脳卒中の危険因子は、加齢・高血圧・不整脈・糖尿病・脂質異常症などが言われています。生活習慣病が多く含まれており、生活習慣病の予防がそのまま脳卒中の予防にも繋がることが分かります。

再発予防には
脳卒中とは再発が起こりやすい病気と言われています。それは脳卒中の原因の多くが、高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病であるからです。脳卒中に一度なってしまったとしても、その原因である生活習慣病を治さないと再発のリスクは続いていることになります。そのため生活習慣病の改善が、脳卒中の再発予防には大切です。また、病院で処方された薬があれば、自己判断でやめずに相談しならが服用していくことも必要です。

脳卒中の予防

脳卒中の予防

生活習慣病を予防する

先に述べたように、脳卒中の原因は生活習慣病が多いです。そのため規則正しい生活を送り、生活習慣病を予防・治療することが脳卒中を予防することにつながります。

血圧を測る

ぜひ毎日の血圧を測定してみて下さい。上腕タイプの方が正確には測れるとは言われていますが、1人での装着がしずらい・かさばるなどのデメリットもあります。前腕タイプの場合は、特に以下のポイントに注意して測ってみて下さい。

血圧測定のポイント
・毎日決まった時間に測る      記録をして経過を追いましょう
・朝晩の2回            朝は起床後1時間以内、夜は就寝前
・計測中は動かない・力を入れない  腕に力が入っていると高く出てしまうことがあります
・食後・飲酒後は避ける       食事や飲酒後は血圧が上がるため、飲酒される方は就寝前ではなく飲酒の前がおすすめです
・血圧計の高さは心臓に合わせる   正確に計測するため座って机の上に腕を乗せるなどして高さを合わせましょう
・同じ腕で測る           人によっては末梢の血管の問題で左右差がある場合があります

正常血圧  収縮期血圧:120mmHg 未満  拡張期血圧:80mmHg未満
高血圧   収縮期血圧:130mmHg 以上  拡張期血圧:80mmHg以上

長期間血圧が高い状態が続くと、血管へのダメージが大きくなり、動脈硬化などのリスクも高くなります。高い状態が続くようであれば一度病院で相談してみましょう。

季節にも注意

虚血性脳卒中の場合は、特に夏場などの暑い時期に注意が必要です。
虚血性脳卒中は先にも述べた通り、血管がつまることで起きる病気です。
そのため、脱水などで水分量が不足することで血液がドロドロになり、血栓ができやすい状態になってしまいます。そのため日ごろからこまめな水分補給を心がけましょう。
出血性脳卒中の場合は、特に冬場などの寒い時期の注意が必要です。
出血性脳卒中は、血管が破れることで起きる病気です。
冬は熱を逃がさないように血管は収縮して細くなります。これにより、血圧は上昇し、脳出血の危険性が高まります。特に、急激な上昇によって出血のリスクが高まるため、暖房器具や衣服での調整・適度な運動などで徐々に体を温めるなどの対策がおすすめです。

この記事を書いた人
大野 真之介

大野 真之介

理学療法士 / 認定理学療法士(脳卒中)

2016年に理学療法士免許を取得。同年より愛知県内の大学病院で勤務し、回復期・急性期・外来のリハビリを経験。急性期ではSCU(脳卒中集中治療室)の専任理学療法士としても勤務。
これまで主に脳血管疾患・脊髄損傷・神経難病の方のリハビリに携わる。2020年に日本理学療法士協会の認定資格である認定理学療法士(脳卒中)を取得。2022年11月から脳神経リハビリセンター名古屋に勤務。
私は常に「一緒に進めるリハビリ」を心がけています。療法士がリハビリをするのではなく、お客様にも“動き方”や“変化”を知ってもらいながら、運動を通して目標達成を目指しています。目標に向けて一緒に挑戦していきましょう。全力でサポートします。