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【サインを見逃さないで!】脳出血の前兆を察知して再発リスクを低減

こんにちは!宮城県仙台市にある脳神経リハビリセンター仙台で理学療法士をしている阿部です。理学療法士のキャリアはキャリアは28年目になります。

脳出血の前兆を見逃すと、生命に関わる状態を引き起こす可能性があります。

この記事では、脳出血の警告信号をいち早く認識し、適切な対応をとる方法を学べます。

また、予防策やリハビリテーションの重要性についても詳しく解説します。

知識を身に着けることで、発症や再発のリスクを抑えることができます。

是非、ご一読ください。

脳出血の罹患者

脳出血の罹患割合

脳出血は、脳梗塞・クモ膜下出血などとともに、脳卒中に含まれる疾患のひとつです。

また脳出血は、脳卒中全体の約2割を占める疾患です。

脳卒中についての統計を見ていきましょう。

脳卒中は、昭和25年から約30年にわたって死亡の原因の第1位でした。

下記のグラフをご参照ください。

国内の主な死因疾患別死亡率(人口10万対)の年次推移
国内の主な死因疾患別死亡率(人口10万対)の年次推移
 【出典】「令和5年(2023年)人口動態統計(概数)」厚生労働省より筆者作成

現在では、その後の急性期治療の進歩により、「がん」「心疾患」に次いで第3位となっています。

ですが下記の通り、脳卒中の患者の全体の数はむしろ年々増加しています。


2020年時点では、国内の脳卒中患者は、約174万人となっています。

また脳卒中による死亡率が低下していることは、その後に後遺症を抱えて生活する方が増えているということでもあります。

介護認定の原因について

要介護度別にみた介護が必要になった主な原因の割合
40歳〜64歳の2号被保険者の方が、介護が必要となった原因でもっとも多い疾患は、脳卒中(51.1%)です。

脳卒中の51.1%は、次に多い関節疾患の9%、脊髄損傷の5%、心疾患・パーキンソン病・糖尿病の3%を大きく上回っています。

脳出血とは

脳出血とは

この章では、脳出血の基本知識、主な原因、そしてその影響について解説します。

脳出血は深刻な障害を引き起こす恐れがあり、正しい理解が必要です。

脳出血とは何か

脳出血とは、脳内の血管が破裂し、周囲の脳組織に血液が漏れ出る状態を指します。

これにより、脳内の神経細胞が圧迫され、様々な症状が引き起こされることがあります。

脳出血と他の脳血管障害との違い

前述の通り、脳出血は脳卒中の一種であり、他に「脳梗塞」と「クモ膜下出血」があります。

脳梗塞は血管が詰まることで起こり、クモ膜下出血は脳の表面近くの血管が破れ、クモ膜下腔というスペースに出血が拡がることで起こります。

脳出血の主なリスク要因

  • 高血圧:最も多い原因で、血圧が高い状態が続くと、血管に過剰な圧力がかかり、血管の破裂につながる恐れがあります。
  • 喫煙:喫煙は血管を硬化させ、柔軟性を失った血管はもろくなり、脳出血のリスクを増加させます。
  • 遺伝的要因:家族歴に脳卒中の例がある場合、リスクが高まることがあります。

日本における脳出血の発症率とその影響

厚生労働省が発表した「人口動態統計の概況」によれば、令和5年(2023年)に脳出血による日本での死亡者は32,707人と、毎年約3万人が脳出血で亡くなっております。

特に高齢者に多いことも特徴です。

発症すると、言語障害や運動麻痺など、重篤な後遺症に直面する恐れがあります。

脳出血の前兆を知る

脳出血の前兆を知る

この章では、脳出血の前兆について、その具体的な症状と、それらをいち早く認識する方法について解説します。

脳出血は突然に命を脅かすことがあり、早期発見が非常に大切です。

前兆

脳出血の前兆と初期症状は、そのタイミングと特徴に違いがあります。

脳出血発生の前兆は、しばしば見過ごされていますが、脳出血の早期発見には、いち早く認識することが不可欠です。

  • 頭痛:脳出血の前兆として、通常よりも強いか、突然発生する非常に強い頭痛が起こります。
  • めまい:普段と異なる激しいめまいが前兆として現れることがあります。
  • 視覚障害:視界が一時的にぼやけたり、視野の一部が欠けるような症状が前兆として報告されています。

これらの前兆は、脳出血を発症している可能性がありますので、いつもとは異なる症状がある場合には病院を受診した方が良いでしょう。

前兆を見逃さなければ、その後の重篤な状況を未然に防ぐことができるため、非常に大切です。

一方、初期症状は脳出血が実際に発生したときに現れるもので、しばしば急激な意識障害片側の麻痺が伴います。

初期症状に迅速に対応することで、後遺症を最小限に抑えることができます。

↓↓↓脳出血の初期症状については、こちらの記事をご覧下さい。
【緊急対応が命を救う!】脳出血のサインと初期症状を見逃さない方法

脳出血発生時の対応方法

脳出血発生時の対応方法

この章では、脳出血が発生した際にどのように対応すべきか、緊急時の対処法と医療機関での治療を紹介します。

脳出血は迅速な対応が生存率を大きく左右するため、対応方法を知っておくことが大切です。

緊急時の対処法

脳出血が疑われる場合、速やかな行動が患者様の命を救う鍵となります。

ここでは、そうした状況で行うべき具体的な対応手順を紹介します。

  • 救急車の呼び出し:症状が現れたら直ちに救急車を呼びます。脳出血の疑いがある場合、速やかな医療介入が必要です。
  • 患者様の安全の確保:患者様が落ち着いた状態を保てるように、安全な場所に寝かせます。頭部はやや高くして血流を管理し、二次的な損傷を防ぎます。
  • 呼吸の確保:患者様の呼吸が確保されているか常に確認します。意識が低下している場合は、気道が塞がれないように注意深く見守ります。
  • 重要情報の伝達:救急隊員到着時には、患者様の現在の状態、観察した症状、持病や服用中の薬について詳しく伝えます。これにより、適切な初期対応が行えます。

上記の対応を迅速に行うことで、患者様の生存率と回復率を高めることが可能です。

脳出血は進行が早いため、緊急対応は命を左右することがあります。

医療機関での診断と治療

脳出血の診断は、以下のような検査によって行われます。
  • CTスキャン:最も一般的で信頼性の高い検査で、出血の位置と規模を明確に示します。
  • MRI検査:脳の詳細な画像を提供し、出血だけでなく、その原因となる他の脳疾患も検出することが可能です。

これらの検査により、患者様の状態に最も適した治療法を迅速に決定することができます。

脳出血の治療法としては、次の方法があります。
  • 内科的治療: 薬物療法と安静による症状の管理を行います。
  • 外科的治療: 状況に応じて出血部位の開頭手術や、出血した血液の吸引手術が行われることもあります。

治療の選択は、出血の程度や位置、患者様の全体的な健康状態に基づいて決定されます。

これらの対応を迅速に行うことで、脳出血による損傷を最小限に抑え、回復の可能性を高めることができます。

脳出血からの回復と日常生活

脳出血からの回復と日常生活

この章では、脳出血後の回復過程におけるリハビリテーションの役割を解説します。

また、再発率が高いと言われる脳出血に対して、日常生活で実践できる再発予防策と、効果的なリスク管理の方法をご紹介します。

↓↓↓再発率についての詳しい情報はこちらの記事をご覧ください。
【再発率は高いの?】脳出血の危険因子と再発予防のための積極的対策

リハビリテーションの重要性

脳出血は患者様の身体的に深刻な影響を及ぼす可能性があり、効果的なリハビリテーションは回復過程で極めて重要です。

神経機能の回復のメカニズムはまだ解明されていないことも多いのですが、早期にリハビリテーションを開始することは、機能回復に重要な要因の一つと言われています。

また、リハビリテーションは身体機能の回復だけでなく、心理的・社会的な回復も意味しています。

その人がもともと行っていた日常生活をスムーズにおくれるようになることも重要とされています。

リハビリテーションの具体的なメリットやその裏付けについて解説していきます。

  • 神経可塑性の促進

    脳の可塑性とは、経験や学習によって脳が変化し、適応する能力のことです。

    リハビリテーションは、脳の神経可塑性、つまり損傷後の脳が新たな神経経路を形成することなどを利用して、機能の再建を促進することが可能と言われています。

    積極的なリハビリテーションは、損傷した脳領域の周辺での新たな神経経路の形成を助け、失われた機能の一部を回復させる可能性があります。

    しかし、リハビリテーションに一貫性がなければ、その新しい神経接続は十分な繋がりを持てません。

    リハビリテーションは、「反復性」「一貫性」が大切です。

  • 機能的回復の最大化

    リハビリテーションプログラムは、患者様が失われた運動能力や言語能力を最大限に回復させることを目指します。

    リハビリテーションとしては、理学療法、作業療法、言語療法が必要に応じて実施されますが、患者様一人ひとりに合わせたプログラムであることが大切です。

  • 日常生活への再適応

    リハビリテーションは患者様が社会に再適応し、自立した生活を送るためのサポートも行います。

これらの介入は、脳出血患者様の生活の質を大幅に改善するために重要です。

リハビリテーションの早期開始は、特に重要で、機能的回復の可能性を大きく向上させるといわれています。

・・・ですが、脳神経リハビリセンターでは

発症から期間が空いてしまい、機能の維持を目標とする時期に入った方の機能改善が行えた実績があります。

是非、諦めずにリハビリに取り組んでみてください。

脳神経リハビリセンターのリハビリによる脳出血患者様の改善事例をご紹介します。
脳出血により右片麻痺となった70歳代の男性です。
急性期・回復期でのリハビリ後に退院されました。
デイケアでのリハビリを継続しておりましたが、医療保険の制度上の問題からリハビリ時間が減ってしまったこともあり、当施設を利用いただきました。

歩行はお一人で可能でしたが、小刻みで努力的な歩行で、速度もゆっくりでした。
不安定さもあり、歩行時は麻痺側の上肢の緊張も高くなりやすい状況でした。
また、感覚障害もあり麻痺側への体重移動は十分に行えず、恐怖心も強く感じておられました。

リハビリはこれまでの努力的な歩きで硬くなっている部分を緩めつつ、弱くなっている股関節周りの筋肉の強化を行いました。
環境や刺激の入れ方などに配慮をして、右足を認識してもらった状態で体幹・股関節周りが働くようにリハビリを進めました。
その上で、立位でのバランスの練習・歩行練習を行いました。

歩行ではリズムをつかむためにcuraraを使用しました。

これにより、以前より恐怖心なく右足に乗せられるようになりました。
また、安定性や推進力も向上し歩行速度の向上も認めました。

↓↓↓詳細はこちらをご覧ください。
【発症後2年7ヵ月】70歳代・男性・脳出血の改善事例

再発予防のための生活習慣改善ポイント

  • 禁煙と節酒:喫煙と過度のアルコール摂取は脳血管に負担をかけるため、控えめにしましょう。
  • 規則正しい睡眠:睡眠不足は高血圧のリスクを高めるため、毎日7〜8時間の質の良い睡眠を心がけましょう。

これらの生活習慣を改善することで、脳出血のリスクを低減できます。

高血圧対策の重要性とその方法

高血圧は脳出血の主要なリスク因子です。

効果的な管理方法は以下の通りです。

  • 塩分の摂取制限:1日6g未満の塩分摂取を目標にしましょう。
  • 定期的な血圧測定:自宅での血圧測定を習慣化し、異常が見られた場合は早めに医療機関を受診しましょう。

これらを実践することで、高血圧を効果的に防ぎ、脳出血の予防につながります。

脳血管の健康を支える生活

適切な栄養と定期的な運動は、脳血管の健康を維持するためにとても大切です。

  • バランスの取れた食事:野菜、果物、全粒穀物、低脂肪のタンパク質を積極的に取り入れましょう。
  • 定期的な運動:週に少なくとも150分の中強度の運動を心がけ、心臓と血管を健康に保ちましょう。

健康的な食事と運動は、血圧を正常範囲内に保ち、脳血管の健康を守ります。

↓↓↓「脳卒中後の再発防止」についての詳しい情報は、こちらをご覧ください。
【まとめ】脳卒中対策のすすめ!再発防止策や生活習慣などすべて解説

まとめ

まとめ

この章では、脳出血への理解を深めるためのポイントを確認します。

是非、脳出血への対応と再発予防にお役立てください。

記事の重要ポイント

  • 脳出血について:脳内の血管が破裂することによって起こり、重篤な結果を招くことがあります。
  • 前兆の認識:突発的な頭痛めまい視覚障害などの症状が前兆として現れることが多いため、認識できることが大切です。
  • 適切な対応方法:緊急時には迅速な医療対応が必要なため、救急車を呼ぶなどの行動が必須です。
  • 再発予防策:高血圧の抑制、バランスの取れた食事、定期的な運動が再発のリスクを減少させます。
  • リハビリテーションの重要性:適切なリハビリテーションを行うことで、機能回復が促がされ、生活の質が向上します。

これらのポイントを理解し、日常生活における注意と対策をすることで、脳出血の再発のリスクを低減し、万が一の発生時にも適切に対応できる準備をしておきましょう。

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この記事を書いた人
阿部 千恵

阿部 千恵

理学療法士 / 認定理学療法士(脳卒中)

1997年に理学療法士免許を取得。一般病院入職し、主に脳血管疾患患者様に対する急性期、回復期、外来のリハビリに携わる。脳神経疾患以外にも、神経難病、整形外科疾患、循環器疾患、呼吸器疾患に対するリハビリも経験。2015年に日本理学療法士協会認定理学療法士(脳卒中)を取得。これまでに学会発表や学会座長、研修会講師、論文執筆も行っている。2024年から脳神経リハビリセンター仙台に勤務。

私は、お客様の小さな変化を見逃さず、目標に向けて最善のリハビリを選択し、提供することを心掛けています。些細な変化であっても、積み重なることで大きな改善の礎となります。一歩ずつ着実に、お客様が目標を達成するための伴走者として、最大限のリハビリを行っていきたいと思います。