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脳出血の部位ごとに違う症状と治療【リハビリの重要性も解説します】

こんにちは!宮城県仙台市にある脳神経リハビリセンター仙台で理学療法士をしている髙橋です。理学療法士のキャリアは9年になります。

脳出血は突然、あなたやあなたの大切な人の生活を変えるかもしれません。

この記事では、脳出血の部位ごとの影響と適切な対処法を解説し、リハビリテーションの重要性をお伝えします。

知識を身につけることによって、回復のチャンスを逃さず、深刻な後遺症のリスクを軽減できるように備えましょう。

脳出血の罹患者

脳出血の罹患割合

脳出血は、脳梗塞・クモ膜下出血などとともに、脳卒中に含まれる疾患のひとつです。

また脳出血は、脳卒中全体の約2割を占める疾患です。

脳卒中についての統計を見ていきましょう。

脳卒中は、昭和25年から約30年にわたって死亡の原因の第1位でした。

下記のグラフをご参照ください。

国内の主な死因疾患別死亡率(人口10万対)の年次推移
国内の主な死因疾患別死亡率(人口10万対)の年次推移
 【出典】「令和5年(2023年)人口動態統計(概数)」厚生労働省より筆者作成

現在では、その後の急性期治療の進歩により、「がん」「心疾患」に次いで第3位となっています。

ですが下記の通り、脳卒中の患者の全体の数はむしろ年々増加しています。


2020年時点では、国内の脳卒中患者は、約174万人となっています。

また脳卒中による死亡率が低下していることは、その後に後遺症を抱えて生活する方が増えているということでもあります。

介護認定の原因について

要介護度別にみた介護が必要になった主な原因の割合
40歳〜64歳の2号被保険者の方が、介護が必要となった原因でもっとも多い疾患は、脳卒中(51.1%)です。

脳卒中の51.1%は、次に多い関節疾患の9%、脊髄損傷の5%、心疾患・パーキンソン病・糖尿病の3%を大きく上回っています。

脳出血とは

脳出血とは

この章では、脳出血の基本知識、主な原因、そしてその影響について解説します。

脳出血は深刻な障害を引き起こす恐れがあり、正しい理解が必要です。

脳出血とは何か

脳出血とは、脳内の血管が破裂し、周囲の脳組織に血液が漏れ出る状態を指します。

これにより、脳内の神経細胞が圧迫され、様々な症状が引き起こされることがあります。

脳出血と他の脳血管障害との違い

前述の通り、脳出血は脳卒中の一種であり、他に「脳梗塞」と「クモ膜下出血」があります。

脳梗塞は血管が詰まることで起こり、クモ膜下出血は脳の表面近くの血管が破れ、クモ膜下腔というスペースに出血が拡がることで起こります。

脳出血の主なリスク要因

  • 高血圧:最も多い原因で、血圧が高い状態が続くと、血管に過剰な圧力がかかり、血管の破裂につながる恐れがあります。
  • 喫煙:喫煙は血管を硬化させ、柔軟性を失った血管はもろくなり、脳出血のリスクを増加させます。
  • 遺伝的要因:家族歴に脳卒中の例がある場合、リスクが高まることがあります。

日本における脳出血の発症率とその影響

厚生労働省が発表した「人口動態統計の概況」によれば、令和5年(2023年)に脳出血による日本での死亡者は32,707人と、毎年約3万人が脳出血で亡くなっております。

特に高齢者に多いことも特徴です。

発症すると、言語障害や運動麻痺など、重篤な後遺症に直面する恐れがあります。

脳出血の部位とその影響

脳出血の部位とその影響

この章では、脳出血の発生しやすい部位とそれぞれの影響について詳しく解説します。

部位別の脳出血と症状

脳出血は、発生する部位によって症状が大きく異なり、それぞれの症状には特有の特徴があります。

主要な脳出血の部位とそれに関連する具体的な症状を解説します。

  • 被殻出血:脳の内側に位置し、感情や運動を調整する部位で出血が起こるため、頭痛や意識障害、言葉がでにくくなる失語症、片麻痺や感覚障害を誘発します。
  • 視床出血:感覚情報の中継点で起こるため、頭痛や片麻痺をはじめとして、温度や痛みの異常、意識障害など感覚面に影響を及ぼしやすいです。
  • 小脳出血:バランスや協調運動を司る部位で発生する出血は、後頭部の頭痛をはじめとして、回転性の眩暈や反復する嘔吐、ふらつきや歩行困難など、運動調整機能に支障をきたします。
  • 脳幹出血:生命維持に欠かせない呼吸や心拍数を調節する領域での出血は、呼吸困難や意識喪失、四肢麻痺など重篤な状態に陥ります。

このように、症状は部位によって大きく異なります。

万一、上記のような症状が疑われる場合、速やかな専門医の診断と適切な治療が必要になります。

最も影響を受けやすい脳の部位

脳出血において特定の部位は特に影響を受けやすく、重要な機能障害を引き起こす可能性があります。
このセクションでは、脳出血が最も頻繁に影響する脳の部位と、それらが体に与える具体的な影響について詳しく説明します。

  • 被殻:脳の深部に位置し、最も出血が発生しやすい部位の一つです。被殻は運動や感覚の調節に関与しており、出血が発生すると片麻痺や感覚障害が起こりやすいです。
  • 視床:脳の中心部近くに位置し、感覚情報の中継地点です。視床への出血は、重度の痛みや感覚異常、さらには意識障害を引き起こすことがあります。
  • 小脳:バランスや精密な運動調節を担当する小脳の出血は、ふらつきや、筋肉をバランス良く使いにくくなる(運動失調)などの運動機能障害を引き起こします。

    これにより、立つことや歩くことが困難になる場合があります。

  • 脳幹:脳幹は生命維持機能を司る中枢で、ここに出血が発生すると、生死にかかわる最も危険な状態に陥ります。

    脳幹出血は呼吸停止や深刻な意識障害、場合によっては即、命にかかわる可能性もあります。

これらの部位の出血は、何れも緊急の医療介入を必要とし、速やかな診断と治療が患者様の予後に大きく影響します。

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部位による後遺症と対処

脳出血の発生部位によっては、多種多様な後遺症が発生する可能性があります。

ここでは、特定の脳部位が出血した際に生じる一般的な後遺症と、それらの症状に対処するための治療法について説明します。

  • 被殻出血後の後遺症:被殻(基底核の一部)は、主に運動機能や姿勢保持、随意運動の調節に関わる領域として知られています。

    出血が起こると、片麻痺や感覚喪失が一般的な後遺症として現れますが、これらは理学療法や作業療法を通じて改善を図ることが可能です。

  • 視床出血後の後遺症:視床は様々な感覚の情報伝達に関与しており、出血によって重度の痛みや感覚の障害が生じることがあります。

    痛みを抑えることと感覚の再教育が必要となり、専門のリハビリテーションが推奨されます。

  • 小脳出血後の後遺症:小脳はバランスと運動調整を司っています。

    出血により協調運動障害や歩行障害が起こり、バランス訓練や支援具を利用したリハビリテーションが効果的です。

  • 脳幹出血後の後遺症:脳幹は生命維持機能を制御するため、ここでの出血は呼吸や心拍調節の問題を引き起こす可能性があります。

    脳幹出血後の後遺症は、長期的な介護を必要とすることが多く、時には人工呼吸器などの生命支持装置が必要となることもあります。

このようにどの部位の出血でも、後遺症は患者様の生活に深刻な影響を与えるため、早期のリハビリテーションと継続的なケアがとても大切です。

適切なサポートと治療により、後遺症の影響を最小限に抑え、患者様の日常生活への復帰を支援します。

部位別の治療

脳出血の治療は出血が発生した脳の部位によって異なります。このセクションでは、各部位に応じた治療を具体的に説明し、それぞれのアプローチの目的と効果を解説します。

  • 被殻出血の治療:被殻部位の出血には、通常、保存的治療が選択されます。

    薬物療法による血圧の管理と脳圧の低減などが行われ、必要に応じて手術による血腫除去が行われることがあります。

    ただし、被殻出血は「大脳深部」に位置し、出血が脳室や脳幹付近へ波及しない限り、急性期の生命予後(直ちに生命を脅かす状態)と直結しにくいケースも多いです。

  • 視床出血の治療:視床に発生した出血は、症状の重さにより急性期に薬物療法を用いて症状を管理します。

    重度の場合は、神経外科的な介入が考慮されることがあります。

  • 小脳出血の治療:小脳の出血は急速に症状が進行することが多いため、積極的な手術介入が必要とされることが多いです。

    これは、出血による圧迫を緩和し、脳幹への障害を防ぐためです。

  • 脳幹出血の治療:脳幹出血は極めて重篤な病態であり、呼吸や心拍調整などの生命維持に関わる中枢が密集しています。

    臨床的判断では、脳幹出血に対する外科的介入は適応が非常に限られ、内科的・保存的治療が主となります。

これらの治療は、患者様の安全と回復のために調整され、最新の医学研究と臨床経験に基づいて適切に実施されます。

早期の介入が患者様の予後を大きく改善するため、症状の初期段階での適切な評価と治療計画が大切です。

脳出血からの回復と日常生活

脳出血からの回復と日常生活

この章では、脳出血後の回復過程におけるリハビリテーションの役割を解説します。

また、再発率が高いと言われる脳出血に対して、日常生活で実践できる再発予防策と、効果的なリスク管理の方法をご紹介します。

↓↓↓再発率についての詳しい情報はこちらの記事をご覧ください。
【再発率は高いの?】脳出血の危険因子と再発予防のための積極的対策

リハビリテーションの重要性

脳出血は患者様の身体的に深刻な影響を及ぼす可能性があり、効果的なリハビリテーションは回復過程で極めて重要です。

神経機能の回復のメカニズムはまだ解明されていないことも多いのですが、早期にリハビリテーションを開始することは、機能回復に重要な要因の一つと言われています。

また、リハビリテーションは身体機能の回復だけでなく、心理的・社会的な回復も意味しています。

その人がもともと行っていた日常生活をスムーズにおくれるようになることも重要とされています。

リハビリテーションの具体的なメリットやその裏付けについて解説していきます。

  • 神経可塑性の促進

    脳の可塑性とは、経験や学習によって脳が変化し、適応する能力のことです。

    リハビリテーションは、脳の神経可塑性、つまり損傷後の脳が新たな神経経路を形成することなどを利用して、機能の再建を促進することが可能と言われています。

    積極的なリハビリテーションは、損傷した脳領域の周辺での新たな神経経路の形成を助け、失われた機能の一部を回復させる可能性があります。

    しかし、リハビリテーションに一貫性がなければ、その新しい神経接続は十分な繋がりを持てません。

    リハビリテーションは、「反復性」「一貫性」が大切です。

  • 機能的回復の最大化

    リハビリテーションプログラムは、患者様が失われた運動能力や言語能力を最大限に回復させることを目指します。

    リハビリテーションとしては、理学療法、作業療法、言語療法が必要に応じて実施されますが、患者様一人ひとりに合わせたプログラムであることが大切です。

  • 日常生活への再適応

    リハビリテーションは患者様が社会に再適応し、自立した生活を送るためのサポートも行います。

これらの介入は、脳出血患者様の生活の質を大幅に改善するために重要です。

リハビリテーションの早期開始は、特に重要で、機能的回復の可能性を大きく向上させるといわれています。

・・・ですが、脳神経リハビリセンターでは

発症から期間が空いてしまい、機能の維持を目標とする時期に入った方の機能改善が行えた実績があります。

是非、諦めずにリハビリに取り組んでみてください。

脳神経リハビリセンターのリハビリによる脳出血患者様の改善事例をご紹介します。

脳神経リハビリセンターに通わている脳出血を患われたお客様では「手を動かす感覚を思い出してきた」「歩き方が変わって歩きやすくなってきた」などのお声もいただいており、リハビリの効果を実感いただいていおります。

【発症後約6ヶ月】70代女性・脳出血・左片麻痺の改善事例

脳出血を発症後、回復期病棟にて毎日リハビリ実施されていました。退院時にはRAPS-AFO(短下肢装具)+T字杖にて歩行が可能となったものの、姿勢コントロールと筋緊張のコントロールが困難であり内反尖足(足が内側にひねる症状)となりやすい為、自宅内でも装具は外せない状態でした。
『装具用の靴ではなく好きな靴を履きたい』『装具なしで歩きたい』のご希望があり、知人に当施設を紹介して頂き、回復期を退院後直後から当施設をご利用いただきました。
現在では介護保険でのリハビリと併用して当施設をご利用いただいています。

両脚に均等に体重を乗せて立つことができるようになり、姿勢も少しづつご自身の力で保つことが可能となってきました。(初回では裸足の歩行では介助が必要な状態でした。)

その為、リハビリ開始3回目の段階で少しづつ足の裏全体が地面につき安定した歩行が可能となってきました。

リハビリ8回目が終了した現在では、サポートでの歩行が可能となってきました。
↓↓↓詳しくは、こちらをご覧ください。
【発症後約6ヶ月】70代女性・脳出血・左片麻痺の改善事例

【発症後8ヶ月】60代男性・脳出血・左片麻痺の改善事例

回復期病院に4ヵ月間入院。退院後バランスの低下が残存し、スムーズに歩けず、また、自転車にも乗れなくなったためリハビリ目的に当施設の利用を開始されました。

身体の柔軟性がやや改善し骨盤帯の動きが出てきました。
左足の支えも改善したため、歩行時の傾きが減少しました。
↓↓↓詳しくは、こちらをご覧ください。
【発症後8ヶ月】60代男性・脳出血・左片麻痺の改善事例

【発症2年7ヶ月】50代男性・HM様・脳出血・右片麻痺の改善事例

急性期病院で治療後、回復期病院で約半年リハビリ入院されました。
その後、生活リハビリをしておりましたが、さらに積極的なリハビリをされたいというご希望で、当センターの利用開始となりました。

元々、姿勢筋緊張が高くお身体全体の柔軟性が低下していましたが、現在は徐々に柔軟性が高まっています。
体験時と比較し、歩行の安定性・速度も改善され、右手指も震えが減少し、動きがスムーズになってきています。
↓↓↓詳しくは、こちらをご覧ください。
【発症2年7ヶ月】50代男性・HM様・脳出血・右片麻痺の改善事例

再発予防のための生活習慣改善ポイント

  • 禁煙と節酒:喫煙と過度のアルコール摂取は脳血管に負担をかけるため、控えめにしましょう。
  • 規則正しい睡眠:睡眠不足は高血圧のリスクを高めるため、毎日7〜8時間の質の良い睡眠を心がけましょう。

これらの生活習慣を改善することで、脳出血のリスクを低減できます。

高血圧対策の重要性とその方法

高血圧は脳出血の主要なリスク因子です。

効果的な管理方法は以下の通りです。

  • 塩分の摂取制限:1日6g未満の塩分摂取を目標にしましょう。
  • 定期的な血圧測定:自宅での血圧測定を習慣化し、異常が見られた場合は早めに医療機関を受診しましょう。

これらを実践することで、高血圧を効果的に防ぎ、脳出血の予防につながります。

脳血管の健康を支える生活

適切な栄養と定期的な運動は、脳血管の健康を維持するためにとても大切です。

  • バランスの取れた食事:野菜、果物、全粒穀物、低脂肪のタンパク質を積極的に取り入れましょう。
  • 定期的な運動:週に少なくとも150分の中強度の運動を心がけ、心臓と血管を健康に保ちましょう。

健康的な食事と運動は、血圧を正常範囲内に保ち、脳血管の健康を守ります。

↓↓↓「脳卒中後の再発防止」についての詳しい情報は、こちらをご覧ください。
【まとめ】脳卒中対策のすすめ!再発防止策や生活習慣などすべて解説

まとめ

まとめ

この記事では、脳出血の基本的な定義、発生メカニズム、主な原因とリスク因子、そして部位別の症状と治療法について解説しました。

  • 脳出血は様々な部位で発生し、それぞれに特有の症状があります。
  • 早期診断と適切な治療が患者様の予後に大きく影響するため、初期症状を見逃さないことが重要です。
  • リハビリテーションは機能回復を促進し、患者様のQOL(生活の質)の向上に貢献します。

脳出血を発症した際は、迅速な行動が求められます。

そのためにも、この記事で学んだ知識を活用し、万が一の時には、即座に医療機関の受診を行う判断に至ることが大切です。

ここで得られた情報が、患者様やご家族の明るい未来への一助となれば幸いです。

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この記事を書いた人
髙橋 克弥

髙橋 克弥

理学療法士

2015年に理学療法士免許を取得。一般病院に勤務。
回復期病棟、一般・療養病棟、地域包括ケア病棟、外来リハビリといった様々なステージでのリハビリ業務を経験。学会参加や学会発表も経験。脳血管疾患、運動器疾患など多くの患者様やその御家族に携わる。
2022年からクリニックに勤務。
国際マッケンジー法認定セラピスト取得。再生医療立ち上げメンバーとして携わる。
2024年から脳神経リハビリセンター仙台に勤務。

私は「お客様が主役」をモットーに皆様の希望に添えるリハビリを提供します。
自分の限界が利用者様の限界になるため、自分の限界を決めずに諦めず、試行錯誤しながら一人一人にあったリハビリプログラムを考えています。
脳神経リハビリセンター仙台に興味を持っていただいたお客様には後遺症をあきらめないで欲しいです。リハビリの可能性を知ってほしいと思います。当社のような自費リハビリ施設は、まだ東北地方ではほとんど知られていません。初回の無料体験プログラムを利用いただき、自分がどこまでよくなるか、可能性を感じてほしいと思います。
目標達成に向かって、共に進んで行きましょう。