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パーキンソン病の錐体外路症状とは?【自己管理法!】

こんにちは!愛知県名古屋市にある脳神経リハビリセンター名古屋で理学療法士をしている大野です。理学療法士のキャリアは8年になります。

パーキンソン病の進行に伴う錐体外路症状とはどのようなものでしょうか?

この症状は進行すると、日常生活に影響を及ぼす恐れがあります。

当記事では、一般的な治療法と実践的な自己管理方法を紹介し、日常生活への影響を抑えるための情報をお伝えします。

患者様とご家族がより良い毎日を過ごすための手助けとなれば幸いです。

パーキンソン病とは?

パーキンソン病とは?

この章では、パーキンソン病の基本的な情報進行度合い錐体外路症状の特徴、さらに発症のメカニズムについて解説します。

患者数

国内のパーキンソン症候群の患者数

国内で継続的にパーキンソン症候群の治療を受けている患者数は、厚生労働省が2022年6月に公表した

「令和2年(2020)患者調査」(33ページをご参照下さい)で、28万9000人と報告されています。

これは「平成29年(2017)患者調査」から12万7000人も増加しています。

また年齢別の統計(政府統計資料)を見ると、65歳以上が26万7000人で全体の92.4%を占めており、

高齢の患者様が圧倒的に多いことが分かります。

基本的な症状

この節では、パーキンソン病の基本的な症状と病気の進行過程について解説します。

疾患の基本的な情報を理解し、適切な対応をするためのヒントとしてお役立てください。

パーキンソン病は、中枢神経系に影響を与える進行性の疾患です。

主に脳内のドーパミンを生成する神経細胞が減少することが特徴です。

この病気の進行は大まかに以下の段階があります。

・初期:軽度の手足の震えや動作の遅さが見られますが、日常生活には大きな支障がないことが多いです。

・中期:震えや動作の遅さが増し、筋肉のこわばりやバランスの問題が顕著になります。日常活動に支障をきたし始めます。

・後期:運動能力が著しく低下し、歩行や立ち上がりが困難になります。介助が必要な生活を送ることが多くなります。

この病気の進行は個人差が大きいため、一概に進行速度を予測することは難しいです。

しかし、早期発見と適切な治療により、症状の進行を遅らせ、生活の質を維持することが可能です。

今回は上記のように大まかに分類し解説しましたが、パーキンソン病の進行度に関してはHoehn & Yahr(ホーン・ヤール)で5段階で分類されることが多いです。

詳しくはこちらの記事をお読みください。

パーキンソン病のヤール分類とは?【リハビリと日常生活の対処法!】

次の章では、パーキンソン病の具体的な症状とその管理法について詳しく説明します。

錐体外路症状の特徴

この節では、パーキンソン病に伴う錐体外路症状の特徴と、これらが患者様の日常生活にどのように影響を及ぼすかについて詳しく説明します。

錐体外路症状を理解することで、患者様とご家族様がこれらの症状をより効果的に管理するための方法を見つける手助けとなります。

錐体外路症状は、パーキンソン病においてよく見られる症状で、主に患者様の運動能力に影響を与えます

これには以下のような特徴があります。

筋固縮

患者様は筋肉が常に緊張状態にあり、柔軟性が失われます。

これにより、動作が困難になることがあります。

安静時振戦

特に安静時に手足が震える症状が現れます。

これが最も一般的に認識されるパーキンソン病の症状の一つです。

姿勢反射障害

バランスを保つことが難しくなり、転倒しやすくなります。

これは歩行や立ち上がりにも影響を及ぼすことがあります。

無動

動作が遅くなり、日常の単純なタスクも時間がかかるようになります。

例えば、着替えなどが困難になることがあります。

これらの症状は、患者様が自立した生活を送る上で大きな障害となることがあります

しかし、適切な治療と管理により、これらの症状はある程度コントロールできる可能性があります。

次の章では、これらの症状を管理するための具体的な方法について解説します。

発症のメカニズム

この節では、パーキンソン病がどのようにして錐体外路症状を引き起こすのか、そのメカニズムについて詳細に説明します。

パーキンソン病における錐体外路症状の発症は、主に脳内のドーパミン産生細胞が進行性に失われ、ドーパミン産生量が減少することにより発症します。

ドーパミンは、運動調節に不可欠な神経伝達物質であり、以下のように症状が発生します。

ドーパミン細胞の減少

パーキンソン病では、脳の特定部位(黒質と呼ばれる領域)にあるドーパミンを産生する神経細胞が徐々に減少します。

これにより、ドーパミンの供給が不足し、運動機能の調節が困難になります。

神経信号の不均衡

ドーパミンの減少により、脳内の他の神経伝達物質とのバランスが崩れます。

特に、アセチルコリンという神経伝達物質が相対的に過剰になることで運動障害を引き起こします。

運動制御の障害

ドーパミンの不足は、運動をスムーズにするための神経回路の調節能力を低下させます。

その結果、手足の震え、筋肉のこわばり、動作の緩慢さなどの錐体外路症状が現れます。

これらの生理的変化は、パーキンソン病の治療をしていくための重要な指標となります。

適切な薬物療法によってドーパミンの不足を補うことや、他の神経伝達物質の活動を調節することが、症状管理の鍵となります。

錐体外路症状の影響

錐体外路症状の影響

パーキンソン病の錐体外路症状は、患者様の日常生活と精神的健康に深刻な影響を及ぼします

ここでは、これらの症状がどのように日常の活動や心理状態に影響を与えるのかを、具体的な例を通じて解説します。

これらの理解を深めることで、支援と介入の重要性を理解し、患者様の生活の質を向上させる手がかりになればと思います。

日常生活への影響

パーキンソン病による錐体外路症状は、日常生活のあらゆる場面に影響します。

具体的な影響には以下のようなものがあります。

・移動:筋肉の硬直や振戦などにより、歩行や立ち上がりが困難になることがあります。

  自宅内の移動や公共の場所での移動が特に問題となります。

・日常生活動作(ADL):着替えや食事、入浴など、身の回りのことが行いにくくなることが多いです。

・動作の速度:動作が緩慢になり、書くこと、料理、掃除などの動作にも時間がかかるようになります。

これらの症状は、患者様の自立した日常生活に、直接影響を及ぼします

精神的な面への影響

錐体外路症状は、患者様の心理的および感情的健康にも大きな影響を与えることがあります。

具体的な心理的影響には以下のようなものがあります:

・不安と抑うつ:運動機能の低下や自立性の喪失は、不安や抑うつを引き起こすことがあります。

・社会的孤立:身体的制約が原因で、社交活動が減少し、孤立感が増大することがあります。

・自尊心の低下:日常的な活動を自分で行う能力の低下は、自信と自尊心に影響を及ぼします。

これらの精神的な影響に対し、心理的サポートを行うことは重要となります。

適切な介入により、患者様の感情的な幸福感を高め、社会的なつながりを保つことも目標の一つとして介入します。

症状の管理と治療法

症状の管理と治療法

パーキンソン病の症状の管理と治療には、薬物治療と外科的手術や理学療法を含む非薬物的な対処法があります。

ここでは、これらの治療方法がどのようにして症状を軽減し、患者様の生活に影響をもたらすのかを掘り下げます。

一人ひとりの症状や生活状況に合わせて適切な治療が行われます。

治療

パーキンソン病の治療には多くの薬物治療が含まれますが、最も一般的なのはレボドパ(L-DOPA)です。

レボドパは、脳内でドーパミンに変換され、錐体外路症状を軽減します。

その他の薬物には以下があります。
ドパミンアゴニスト

ドーパミン受容体を直接刺激して、ドーパミンの効果を模倣します。

効果の面でL-DOPAと比べて異なる点は、経口薬の場合、効果時間が非常に長いこと、効果が弱いことがあげられます。

MAO-B阻害剤

ドーパミンの分解阻害作用により、ドーパミン量を増やします。

抗コリン薬

過剰なアセチルコリン活動を抑制し、ドーパミンとアセチルコリンのバランスを改善します。

外科手術も行われる場合があり、深部脳刺激療法(DBS)というものがあります。

この手術は、電極を特定の脳部位に挿入し、電気刺激により症状をコントロールします。

症状の管理

理学療法は、パーキンソン病患者様の日常生活の質を向上させるための重要な非薬物治療です。

脳神経リハビリセンターで行っている運動プログラムをご紹介します。

具体的には以下のようなものがあります。

・可動域練習

硬くなった関節・筋肉を緩めて、手足・体が動かしやすい状態にします。

・筋力増強

筋力を向上させ、動作の安定・努力性の軽減を図ります。

・歩行練習

徒手での誘導・外的刺激・トレッドミルなどを利用した歩行能力の改善を目指します。

当施設ではcuraraという歩行ロボットを使用する場合もあります!

・バランス練習

姿勢反射障害などによるバランス能力の低下に対して実施し、転倒のリスクを減少させます。

・日常生活動作(ADL)練習

ご本人の苦手な実際の動作の練習を行い、日常生活の自立度の向上を目指します。

・環境調整

必要に応じて補装具の提案やご自宅での環境調整を行い、実生活で動きやすくなるための提案を行います。

これらのリハビリは、薬物治療と組み合わせることで、患者様の自立性を最大限に支援し、日常生活への影響を最小限に抑えることができます。

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実践的な自己管理方法

実践的な自己管理方法

パーキンソン病の日々の管理には、患者様自身による積極的な自己管理が不可欠です。

この章では、症状を軽減し日常生活の質を向上させるための実践的な工夫や、利用可能なサポートと社会資源を詳しく解説します。

これらの情報を活用することで、患者様がより自立した生活を送るための助けになります。

日常生活の工夫

パーキンソン病の症状が日常生活に及ぼす影響は多岐にわたりますが、以下の工夫によって軽減できることがあります。

・スケジュール管理:一日の活動を計画し、疲れを感じやすい時間を避けることで、体力の消費を調整します。

また、薬の時間を含めスケジュールを調整することが重要となります。

・自助具や補装具の使用:太い柄のスプーン、電動歯ブラシ、自動開閉式のカーテンなど、少しの力で動作が行いやすくなる器具を使用します。

・身の回りの整理:頻繁に使用する物を手の届く場所に置くことで、無理な動作を避けます。

これらの工夫により、患者様は日常生活をよりスムーズに、安全に行うことができます。

活用できる外部支援3選

パーキンソン病患者様とご家族様が直面する心理的および物理的な課題を乗り越えるためには、外部支援がとても有効です。

利用できる代表的な外部支援を3つご紹介します。

・支援団体:同じ状況にある他の人々と情報を共有し、励まし合う場を提供します。

インターネット情報症状管理のヒント最新の治療情報が得られるウェブサイトやフォーラムが数多く有ります。

地域の支援:地域には、運動プログラム日常生活の支援を提供する施設があります。

これらの外部支援を活用することで、治療を補い、社会的なつながりを保ちながら、症状と向き合うことが期待できます。

まとめ

まとめ

最後までお読みいただき、有難うございました。

この記事を通じて、パーキンソン病錐体外路症状の理解を深めていただけたことと思います。

症状の管理から日常生活の工夫、さらには心理的サポートに至るまで、具体的な情報を提供しました。

ご自身やご家族が直面するかもしれない困りごとに備え、これからの生活をより良いものにするための一助となれば幸いです。。。

この情報が皆様の希望の源となり、毎日を前向きに過ごしていただけることを願っています。

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この記事を書いた人
大野 真之介

大野 真之介

理学療法士 / 認定理学療法士(脳卒中)

2016年に理学療法士免許を取得。同年より愛知県内の大学病院で勤務し、回復期・急性期・外来のリハビリを経験。急性期ではSCU(脳卒中集中治療室)の専任理学療法士としても勤務。
これまで主に脳血管疾患・脊髄損傷・神経難病の方のリハビリに携わる。2020年に日本理学療法士協会の認定資格である認定理学療法士(脳卒中)を取得。2022年11月から脳神経リハビリセンター名古屋に勤務。
私は常に「一緒に進めるリハビリ」を心がけています。療法士がリハビリをするのではなく、お客様にも“動き方”や“変化”を知ってもらいながら、運動を通して目標達成を目指しています。目標に向けて一緒に挑戦していきましょう。全力でサポートします。