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パーキンソン病の薬物療法【今できることと今後の展望】

こんにちは!東京都武蔵野市にある脳神経リハビリセンター吉祥寺の百瀬です。

パーキンソン病は進行性の神経疾患であり、薬物療法により、病気による日常生活への影響の軽減が試みられます。

この記事では、薬物療法がどのように病気による日常生活への影響を和らげると言われているのかを、詳しく解説します。

具体的な治療の選択肢をご理解いただき、より穏やかな日常生活を送るための参考となれば幸いです。

パーキンソン病とは

パーキンソン病とは

はじめに、パーキンソン病の基本的な理解を深めるために、病気の概要主な症状、そして発症の原因についてご説明します。

病気の基礎知識を理解することで、今後の治療や日常生活の変化に向けての準備に繋がると思います。

国内のパーキンソン症候群の患者数

国内で継続的にパーキンソン症候群の治療を受けている患者数は、厚生労働省が2022年6月に公表した

「令和2年(2020)患者調査」(33ページをご参照下さい)で、28万9000人と報告されています。

これは「平成29年(2017)患者調査」から112万7000人も増加しています。
患者調査

また年齢別の統計(政府統計資料)を見ると、65歳以上が26万7000人で全体の92.4%を占めており、

高齢の方が圧倒的に多いことが分かります。

病気の概要

パーキンソン病は、神経細胞の損傷により進行する疾患で、特に脳内のドーパミンを生産する細胞が影響を受けます。

主な症状としては以下のようなものがあります。

・手足の震え: 静止している時に特に顕著

・筋肉のこわばり: 全身の筋肉が硬くなり、動きが鈍くなる

・動作の遅延: 日常的な動作が遅くなり、時間がかかるようになる

・ バランスの問題: 歩行時に不安定感が増し、転倒しやすくなる

これらの症状は、患者様の日常生活に大きな影響を与えるため、自立した生活を困難にする恐れがあります。

発症の原因

パーキンソン病の正確な原因はまだ完全には解明されていませんが、以下の要因が考えられています。

・遺伝的要因: 特定の遺伝子の変異が関連している場合がある

・環境的要因: 農薬や溶剤など、特定の化学物質への長期間の露出

・加齢によるもの: 60歳以上の高齢者に多く見られる

これらの要因がいくつか重なることで、パーキンソン病が発症すると考えられています。

遺伝的要因が確認された場合は、家族歴を考慮した遺伝相談を受けることをおすすめします。

環境因子については、可能な限り避けることが求められます。

この章では、パーキンソン病の概要と発症の原因についてご説明しました。

パーキンソン病の進行度と症状【日常生活への影響は?】

次は、いよいよパーキンソン病の薬物治療に焦点を当て、掘り下げていきます。

薬物治療の基本

薬物治療の基本

この章では、パーキンソン病の薬物治療の目的と効果、そして一般的に使用される薬をご紹介します。

そして、薬がどのようにして症状を抑えるのに役立つかについて解説します。

薬物治療の目的

パーキンソン病の薬物治療の主な目的は、症状の軽減と日常生活の質の維持です。

治療によって得られる効果は以下の通りです。

  • 症状の管理:震え、筋肉のこわばり、運動の遅さなどが軽減されます。
  • 生活の質の維持:日常生活動作が行いやすくなり、自立した生活を維持できる可能性があります。

これらの効果は、適切な薬と症状の管理によってより大きく左右されるため、専門医による定期的な診察が欠かせません。

一般的に使用される薬剤の紹介

パーキンソン病の治療にはいくつかの異なる薬が用いられますが、一般的な薬をご紹介します。

  • ドーパミン作動薬
  • レボドパ
  • MAO-B阻害剤

これらの薬は、それぞれ治療効果を発揮する仕組みが異なり、患者様の症状や治療効果に応じて調整されます。

副作用のリスクもあるため、治療の選択には慎重な検討が必要です。

次は、これらの薬が効果を発揮する仕組みについて具体的に詳しく見ていきます。

薬が効果を発揮する仕組み

薬が効果を発揮する仕組み

この章では、パーキンソン病の主な薬物治療法とそれらがどのようにして病気の症状に作用するのかを詳しく解説します。

特に、ドーパミン補充療法とその他の神経伝達物質を対象とした治療薬に焦点を当てます。

これらの薬がどのようにしてパーキンソン病患者様の神経機能を改善し、症状を抑えていくのかをご説明します。

ドーパミン補充療法

ドーパミン補充療法は、パーキンソン病の治療で広く利用されている方法の一つです。

この治療法の主な目的は、脳内のドーパミンの不足を補うことです。

主に以下の薬が使用されます。

・レボドパ:脳内で直接ドーパミンに変換されるため、最も効果的な治療薬とされています。

・カルビドパ:レボドパの副作用を減らすために併用され、ドーパミンの前駆体として働きます。

これらの薬は、患者様の運動能力を改善し、病気による日常生活への影響を軽減させることに直接働きますが、時間と共にその効果が減少することがあります。

そのため、定期的な医師の診察が重要です。

その他の神経伝達物質を対象とした薬

ドーパミン以外の神経伝達物質に作用する薬もパーキンソン病の治療に用いられています。

これには以下のような薬が含まれます。

・MAO-B阻害剤:ドーパミンの分解を阻害し、その利用効率を高めます。

・ドーパミン作動薬:ドーパミン受容体を直接刺激し、ドーパミンと同様の効果を得られます。

・アンタコゴニストとコリン作動薬:特定の神経伝達物質の作用を調節し、特定の症状を抑えます。

これらの薬は、ドーパミン補充療法と併用されることが多く、患者様の症状や体質に応じて最適な選択が行われるとされています。

このように多角的な方法により、症状の管理がより効果的に行われ、患者様の日常生活への影響を抑えることが試みられています。

次は、これらの薬物治療による副作用について触れていきます。

薬物療法の副作用と管理方法

薬物療法の副作用と管理方法

この章では、パーキンソン病の薬物治療がもたらす主な副作用と、それらを管理する方法について解説します。

薬物治療は症状を軽減し、日常生活への影響を改善する一方で、副作用が発生する恐れがあります。

ここでは、これらの副作用に対処し、治療の持続可能性を高めるための重要なことをお伝えしていきます。

主な副作用とその対処法

パーキンソン病の薬物治療において、以下の副作用が一般的に報告されています。

  • 1.吐き気や嘔吐…多くの場合、薬物摂取の初期段階で見られ、体が薬に慣れるにつれて減少します。

         対処法…食事と一緒に薬を摂取することで症状を緩和できます。

  • 2.眠気や突然の睡眠発作…日中の活動に支障をきたす可能性があります。

         対処法…薬の服用時間を調整することで改善することが多いです。

  • 3.無動作の悪化…特にレボドパ長期使用の患者に見られる副作用です。

         対処法…薬の投与量を調整することで管理が可能です。

これらの副作用に対しては、適切な服用時間の設定や食事との組み合わせや、必要に応じた薬の調整が有効です。

また、副作用が重い場合は、他の薬に変更できる可能性もありますので、主治医に相談することをお勧めします。

長期治療における注意点

パーキンソン病の長期的な薬物治療では、以下の点に特に注意が必要です。

・薬剤耐性の発生:長期間同じ薬を使用すると効果が低下することがあります。

       …定期的な医師の診察をお勧めします。

・動作障害の変動:「オン・オフ現象」と呼ばれていますが、症状の波が激しくなることがあります。

       …これは、薬の効果が一時的に強くなったり、弱くなったりする現象です。

これらに対処するためには、治療法の多様化や、日常生活の調整が有効であり、患者様一人ひとりに最適な方法を見つけることが大切です。

また、精神的な健康も重視し、心理的なサポートやカウンセリングの利用をお勧めします。

ここで説明した副作用とその管理方法により、薬物治療をより安全かつ効果的に続けることができます。

次は、パーキンソン病治療の将来展望について探っていきます。

治療の将来展望

治療の将来展望

この章では、パーキンソン病治療の将来的な治療法の発展について探ります。

科学技術の進展によって、新しい治療法の開発や、既存治療法の改良が進みつつあるようです。

臨床試験と研究成果に基づき、治療選択肢がどのように拡大しているか、また、これからの薬物治療における進化の展望を詳細に解説します。

臨床試験と研究動向

パーキンソン病の治療研究は常に進化しており、新しい薬物の開発と臨床試験が活発に行われています。

以下は、特に注目される最近の研究動向です。

①遺伝子療法

特定の遺伝子を標的とすることで、病気の根本的な原因に働きかける治療が試みられています。

これにより、症状の進行を遅らせる可能性があります。

②ニューロプロテクティブ療法

神経細胞を保護し、病気の進行を抑えることを目指す療法が開発されています。

これは、既存の症状管理に加えて、病気の進行を遅らせる効果が期待されます。

③個別化医療

患者様個々の遺伝的背景に基づいて調整される治療法が研究されています。

これにより、より効果的で副作用の少ない治療が可能になる見込みです。

これらの研究は、未来のパーキンソン病治療法の基盤を築くものであり、継続的な研究とフィードバックが重要です。

薬物治療の未来

薬物治療の未来は、技術革新と連携した新たな方法によって、より個別化された治療が可能になることでしょう。

将来期待される治療法を見ていきましょう。

①持続的効果のある薬物

現在の薬物治療は効果が一時的なものが多いですが、長期間にわたる効果を持つ新薬の開発が進んでいます。

②副作用の少ない薬物

副作用を最小限に抑えながら効果を最大限に発揮する薬の開発が進められています。

③経口摂取ではない投与方法

パッチやインプラントなど、経口摂取以外の投与方法により、薬の効果が安定し、使いやすくなる可能性があります。

これらの進歩により、パーキンソン病の治療は、患者様一人ひとりに最適な治療法が提供されるようになることが期待されます。

パーキンソン症候群は治る?【治療の新しい研究と症状改善の実例!】

薬物療法とリハビリテーションの連携

薬物療法とリハビリテーションの連携

この章では、パーキンソン病の治療において、薬物療法とリハビリテーションとの組み合わせに焦点を当てます。

薬物療法で症状を管理する一方で、リハビリテーションでは身体機能の維持と向上が図られます。

この相互関係は非常に大切です。

薬物療法とリハビリテーションの相互関係

薬物療法はパーキンソン病の症状、特に運動障害に対して効果を発揮しますが、それだけでは十分ではありません。

リハビリテーションを併用することで、患者様が日々の活動をより行いやすくなるように支援します。

リハビリテーションでは、筋力の低下を防ぎ、柔軟性とバランスを改善することを目指します。

特に、次のようなリハビリテーションの利点が薬物療法の効果を高めるとされています。

筋力と耐久力の向上

定期的な運動が筋肉の力を保ち、全体的な体力を向上させます。

姿勢とバランスの改善

パーキンソン病はバランスを損なうことが多いため、転倒予防にリハビリテーションが役立ちます。

精神的なストレスの緩和

運動がもたらすストレス解消や、自己効力感の向上が精神的健康に寄与します。

これらの効果は、薬物療法と合わせることで、患者様の症状管理と生活の質の向上に寄与します。

パーキンソン病患者のための継続的リハビリテーションの重要性

パーキンソン病は進行性の病気であるため、継続的な治療が求められます。

長期的なリハビリテーションプログラムの重要性は、症状の進行を遅らせ、患者様が可能な限り自立した生活を送るために不可欠です。

継続的リハビリテーションは、具体的に次のような利点があります。

①症状の進行抑制

定期的な運動が神経機能の低下を遅らせる可能性があります。

②自立のための身体機能の維持

日常生活活動(ADL)の支援により、自宅での自立を促します。

薬物療法とリハビリテーションの組み合わせによる総合的な治療は、パーキンソン病の治療成果の向上に寄与します。

脳神経リハビリセンターで行っている日常生活動作への支援をご紹介します。

具体的には以下のようなものがあります。

①関節可動域練習

硬くなりやすい筋肉や関節を緩めて、動きやすい状態にします。

②筋力増強トレーニング

筋力を発揮しやすい状態でトレーニングを行い、動作の安定性の向上を図ります。

③バランス練習

姿勢反射が障害されることが多いため、座位や立位場面などでバランスをとる練習をします。

④基本動作練習

頸部、体幹、骨盤帯が特に硬くなる傾向がありますので、寝返りや起き上がり、立ち座りなどの練習を行い、身体を柔らかく使えるようにしていきます。

⑤歩行練習

すくみ足などの症状が出るため、スムーズに第一歩目を踏み出す練習や歩行のリズムを保つための練習を行い、歩行能力の改善を図ります。

歩行リズムの改善を図るため、当施設ではCuraraという歩行ロボットを使用することもあります。

⑥日常生活動作(ADL)練習

実際の生活場面で行いにくくなっている動作を行い、生活能力の維持を図ります。

⑦環境調整

必要に応じて、住環境の調整や福祉用具などのご提案をし、生活しやすい環境になるよう支援します。

パーキンソン病のヤール分類とは?【リハビリと日常生活の対処法!】

まとめ

まとめ

ここまでお読みいただき、有難うございました。

この記事を通して、パーキンソン病の薬物治療の現在から未来まで、幅広くご紹介しました。

薬物治療の選択肢が増えてきていること、またそれぞれがどのような効果があるのかをご理解いただけましたでしょうか。

この記事が、パーキンソン病と日々向き合っている方々の一助となれば幸いです。

これからも進歩していく治療法に希望を持って、リハビリの専門家の私たちとともに一歩ずつ前に進んでいきましょう。

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この記事を書いた人
百瀬 義一

百瀬 義一

作業療法士

2007年に作業療法士免許を取得。回復期・生活期・介護施設・在宅と全てのステージでのリハビリを経験。
これまで脳血管疾患・運動器疾患・廃用疾患・難病など、多くの患者様のリハビリテーションに携わる。
2023年12月から脳神経リハビリセンター吉祥寺に勤務。

私は「少しでも利用者様のご希望を達成する事ができるリハビリ」を心がけています。自費領域でのリハビリテーションは病院でのリハビリとは違い、利用者様のご希望がはっきりとしていて、より切実である事が多いと感じています。リハビリ介入により少しでも利用者様のご希望や目標を達成することができるよう、精一杯のリハビリを行なってまいります。