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脳梗塞予防にはどんな生活習慣が必要?効果的な改善方法を解説

脳梗塞予防にはどんな生活習慣が必要?効果的な改善方法を解説

こんにちは。脳神経リハビリセンター名古屋で理学療法士をしている大野です。
脳梗塞は、生活習慣病が原因で発症することが多い重篤な病気です。本記事では、脳梗塞予防に効果的な生活習慣の改善方法を解説します。具体的には、食生活の改善、禁煙、ストレス軽減、運動、定期的な健康診断の重要性について詳しくお伝えします。

本題に入る前に

「脳梗塞とはなにか?」

について解説します。
脳卒中の1つであり、脳卒中の過半を占める病気です。脳内の血管が詰まったり、破裂したりすることで、脳に酸素や栄養素が行き渡らなくなり、脳細胞が死滅する病気です。
脳細胞の働きが悪くなり、半身麻痺などの症状がでることが多い病気です。また血流が悪いまま数時間程度がたつと、脳細胞は死んでしまい、元通りになることはありません
高齢者に多く見られますが、若年層でも発症することがあります。
国立病院機構によると、日本では年間約12万人が脳卒中になり、うち約8割が脳梗塞です。脳梗塞の死亡率は高く、発症した場合、重篤な後遺症が残ることがあります。また、一度発症すると再発率も高いため、予防が非常に重要です。
脳梗塞の原因には、高血圧や高脂血症、糖尿病などの生活習慣病が関与していることが多く、生活習慣の改善が予防につながります。脳梗塞の症状としては、突然の片麻痺や言葉の理解や発話の困難、めまいやふらつき、頭痛などがあります。これらの症状が現れた場合は、すぐに救急車を呼び、早期の治療が必要です。
厚生労働省発表の令和2年(2020) 人口動態統計によると、脳卒中(脳血管疾患)による死亡者数は10万2956人であり、日本における死因全体の7.5%を占めています
死亡原因としては悪性新生物(腫瘍)、心疾患、老衰に次いで、第4位となり国民病の一つとなっています。

【出展】  令和2年(2020)人口動態統計

少し前置きが長くなりましたが、脳梗塞予防に効果的な生活習慣の改善方法を解説します。

【第1章】食生活の改善

脳梗塞予防には、健康的な食生活が必要不可欠です。食事によって摂取する栄養素のバランスを整えることで、生活習慣病のリスクを減らし、脳梗塞予防につながります。
⑴野菜や果物の摂取量が増えると、脳梗塞の発症リスクが低下するという研究結果があります。例えば、日本の厚生労働省が推奨する1日350g以上の野菜の摂取量に従うことで、脳梗塞リスクが低下するという結果があります。
⑵魚介類に含まれるEPAやDHAなどの不飽和脂肪酸が、脳梗塞の発症リスクを低下させるという研究結果があります。日本の厚生労働省では、週に2回以上の魚の摂取を推奨しています。
⑶食物繊維の摂取量が増えると、脳梗塞の発症リスクが低下するという研究結果があります。例えば、オートミールや玄米などの穀物や、豆類、野菜などに多く含まれます。
一方で、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の摂取量が多いと、脳梗塞の発症リスクが高くなるとされています。これらの脂肪酸は、揚げ物や菓子類、肉類などに多く含まれています。
以上の内容からも、食生活の改善が脳梗塞予防に非常に重要であることがご理解いただけたでしょうか。脳梗塞予防に有効な食生活改善方法をいくつか挙げます。

1-1 野菜や果物の摂取

野菜や果物には、ビタミンCやカリウム、食物繊維が豊富に含まれています。これらの栄養素は、高血圧や動脈硬化の予防に効果的です。また、野菜や果物はカロリーが低く、食べ過ぎの防止にもなります。

厚生労働省では、1日あたり350g以上の野菜や果物の摂取を推奨しています。野菜や果物は、生で食べるのが一番効果的ですが、調理する際には加熱しすぎないように注意しましょう。

1-2 塩分の摂取量を減らす

高血圧は、脳梗塞のリスクを高める要因の一つです。食塩の過剰摂取は高血圧の原因となるため、塩分の摂りすぎには注意が必要です。日本人の平均的な塩分摂取量は1日あたり約10gと言われており、健康増進法では1日当たりの塩分摂取量を7g以下にすることが推奨されています。具体的には、調味料や加工食品に含まれる塩分の量にも注意し、塩分を抑えた食生活を心がけましょう。また、食事の際には、野菜や魚、豆腐などの低塩食材を積極的に取り入れるようにしましょう。

1-3 魚の摂取
魚には、EPA(イコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)などの不飽和脂肪酸が含まれています。これらの栄養素は、血液をサラサラにし、血管を健康に保つ効果があります。日本の厚生労働省では、週に2回以上の魚の摂取を推奨しています。魚は、刺身や焼き魚、煮物など様々な調理方法があります。また、缶詰や冷凍食品なども利用することで手軽に魚を摂取することができます。

1-4 食物繊維を多く含む食品を摂る
食物繊維は腸内環境を整えるのに役立ち、便秘の予防や血糖値の上昇を緩やかにする効果があります。日本人の食事摂取基準では、男性が18g、女性が16gの摂取が推奨されています。主な食物繊維を含む食品としては、玄米、野菜、果物、豆類などが挙げられます。特に大豆製品に含まれる水溶性食物繊維は、血中コレステロールを下げる効果もあるため、脳梗塞予防に役立つとされています。

1-5 無理なダイエットは避ける
急激な体重減少は、体内の脂肪を分解する際に発生する物質が、血管内膜に付着することで動脈硬化を引き起こす可能性があるため、脳梗塞のリスクを高める原因となります。健康的な範囲内で、無理のないダイエットを心がけましょう。

これらの食生活の改善によって、脳梗塞のリスクを低下させることができます。しかし、一度にすべての食生活を改善することは難しいかもしれません。まずは、できるだけ早めに改善できる点から取り組んでいくことが大切です。また、食生活の改善だけでなく、適度な運動や十分な睡眠をとることも脳梗塞予防に役立つため、総合的な生活改善を目指すことも重要です。

【第2章】禁煙

喫煙も脳梗塞の原因の1つとされています。たばこには多くの有害物質が含まれており、血管が収縮し、動脈硬化を進行させるため、脳梗塞のリスクが高まります。禁煙することは、脳梗塞のリスクを減らすために非常に重要な取り組みです。具体的には、禁煙によって血管の収縮が改善され、動脈硬化を進行させることが防げます。また、禁煙によって血栓ができにくくなるため、脳梗塞の発症リスクが低下するとされています。

⑴禁煙する理由を明確にする
禁煙する理由を明確にすることが、禁煙成功の重要なポイントです。脳梗塞のリスクが高いことや、禁煙によって健康になれることなど、自分なりの理由を考えましょう。

⑵禁煙する日を決める
禁煙する日を決め、その日に向けて準備を進めましょう。家族や友人に禁煙のことを話しておくと、サポートしてもらえる場合もあります。

⑶禁煙の方法を選ぶ
禁煙の方法には、ニコチンパッチやニコチンガム、禁煙薬、カウンセリングなど、さまざまな選択肢があります。自分に合った方法を選びましょう。

⑷禁煙時にはアルコールを控える
禁煙を始めたばかりの時期は、アルコールを控えた方が良いです。アルコールは、禁煙の欲求を強くしてしまうことがあります。

⑸禁煙を成功させるためのアドバイス
 禁煙を成功させるためには、以下のアドバイスが役立ちます。
・禁煙をする人をサポートする家族や友人に感謝の気持ちを伝える
・ストレスを解消するために運動する
・禁煙のメリットを自分で実感するために、体重を減らすなど健康に関する別の目標を設定する

禁煙は簡単ではありませんが、自分に合った方法を選び、理由を明確にし、周りのサポートを受けながら、少しずつ禁煙に向けて取り組むことが重要です。
禁煙には具体的な方法があります。まずは、周囲の喫煙者との接触を避けることが重要です。また、禁煙に取り組む際には、ニコチンパッチやニコチンガムなどの禁煙補助薬を使用することも有効です。禁煙を成功させるためには、禁煙の意志を強く持ち、目標を設定することが大切です。具体的には、「1か月で禁煙する」「1年間禁煙する」など、期限を設けて目標を明確にすることが望ましいです。

また、禁煙を行う際には、禁煙外来や禁煙セラピーなどの専門家のサポートを受けることも有効です。専門家は、禁煙のための具体的なアドバイスや、禁煙に関する不安やストレスなどの解決策を提供してくれます。

禁煙による脳梗塞のリスク低減効果は非常に高く、禁煙に取り組むことは健康にとって大きなメリットがあることがわかっています。
また、禁煙による脳梗塞リスクの低減効果は、禁煙を始めてから時間が経つにつれて徐々に高まっていきます。たとえば、禁煙を始めて1年後には、脳梗塞発症リスクが約50%低下するとされています。
禁煙を行う際には、禁煙のメリットをしっかりと理解し、周囲の人からのサポートを受けることが重要です。また、禁煙に成功した場合は、その達成感を自分自身で認め、自信を持って生活することが大切です。
禁煙は一度に完全にやめるのが難しい場合もありますが、少しずつ取り組んでいくことも可能です。まずは、喫煙本数を減らすことから始め、徐々に禁煙へと移行していくことも有効です。
禁煙は脳梗塞予防において非常に重要な取り組みであり、積極的に取り組むことが望ましいです。

【第3章】ストレス軽減

ストレスは、脳梗塞の原因の1つとされています。ストレスが続くと、血管の収縮が起こり、血液循環が悪化し、脳梗塞のリスクが高まります。ストレスを軽減する実践例を紹介します。

1. 運動
運動は、ストレスを軽減するための効果的な方法の一つです。運動により、脳内ホルモンであるエンドルフィンが分泌され、ストレスホルモンのコルチゾールを低下させることが知られています。また、リラックスした状態になることで、ストレスから解放されることも期待できます。日常生活に運動を取り入れることで、ストレスを軽減することができます。

2. 瞑想
瞑想は、ストレスを軽減するための効果的な方法の一つです。瞑想により、脳波がゆっくりとなり、リラックスした状態になることができます。また、瞑想は、ストレスホルモンのコルチゾールの分泌を抑える効果があることが知られています。瞑想は、10分から15分程度行うことで、効果が期待できます。

3. 趣味の時間を確保する
仕事や家事などで忙しい日々を過ごしていると、ストレスがたまってしまいます。そこで、自分の趣味の時間を確保することが大切です。趣味に没頭することで、日々のストレスから解放されることができます。また、趣味によっては、脳を活性化させることができるため、ストレスを軽減するだけでなく、脳の健康にも良い影響を与えることが期待できます。

【第4章】運動

脳梗塞予防のには、適度な運動が必要です。運動をすることで、血行が良くなり、血液中のコレステロール値を下げることができます。
ここでは、運動の種類や運動のメリットについて詳しく解説します。

1.運動の種類
運動には、有酸素運動と筋力トレーニングの2種類があります。

⑴有酸素運動
有酸素運動とは、心拍数を上げながら長時間運動することです。ウォーキング、ジョギング、サイクリングなどが代表的な有酸素運動です。有酸素運動をすることで、血流が良くなり、血管内の汚れを洗い流すことができます。また、有酸素運動は脳卒中や心臓病、糖尿病の予防にも効果的です。

⑵筋力トレーニング
筋力トレーニングとは、筋肉を鍛える運動です。筋力トレーニングは、筋肉量を増やすことで代謝が上がり、脂肪を燃焼しやすくなるため、ダイエットにも効果的です。また、筋力トレーニングは骨密度を上げることで、骨粗鬆症の予防にもつながります。

2.運動のメリット
運動には、脳梗塞予防だけでなく、様々なメリットがあります。

⑴血行が良くなる
運動をすることで、心臓が強くなり、血流が良くなります。血流が良くなることで、血圧が下がり、血液中の酸素や栄養素が全身に行き渡るため、健康維持につながります。

⑵ストレス解消
運動をすることで、脳内のエンドルフィンというホルモンが分泌されます。エンドルフィンは、ストレスを解消し、リラックス効果があるため、ストレスの多い現代人にはぴったりの運動といえます。

【第5章】定期的な健康診断の重要性

脳梗塞は、初期症状が軽いため、気付かないうちに発症していることがあります。そのため、定期的な健康診断を受けることが大切です。健康診断を受けることで、脳梗塞の早期発見ができ、適切な治療が行われることができます。

【まとめ】

脳梗塞は、生活習慣病の1つであり、予防が大切です。本記事では、脳梗塞予防のための方法を紹介しました。

食生活を改善することで、脳梗塞のリスクを低減することができます。食物繊維やオメガ3脂肪酸を摂取し、過剰な塩分や脂肪分を控えましょう。また、禁煙、ストレス軽減、適度な運動、定期的な健康診断も脳梗塞予防に役立ちます。
脳梗塞は、一度発症すると後遺症が残ることがあります。そのため、予防が非常に大切です。健康的な生活習慣を心がけ、定期的な健康診断を受けることで、脳梗塞予防につながることを覚えておきましょう。予防は身体に負担が少なく、経済的にもメリットがあるため、積極的な取り組みが必要です。

この記事を書いた人
大野 真之介

大野 真之介

理学療法士 / 認定理学療法士(脳卒中)

2016年に理学療法士免許を取得。同年より愛知県内の大学病院で勤務し、回復期・急性期・外来のリハビリを経験。急性期ではSCU(脳卒中集中治療室)の専任理学療法士としても勤務。
これまで主に脳血管疾患・脊髄損傷・神経難病の方のリハビリに携わる。2020年に日本理学療法士協会の認定資格である認定理学療法士(脳卒中)を取得。2022年11月から脳神経リハビリセンター名古屋に勤務。
私は常に「一緒に進めるリハビリ」を心がけています。療法士がリハビリをするのではなく、お客様にも“動き方”や“変化”を知ってもらいながら、運動を通して目標達成を目指しています。目標に向けて一緒に挑戦していきましょう。全力でサポートします。